OECD –パリ、2021年2月1日
OECDの新報告書によると、世界のサービス貿易規制は2021年に自由化の兆しを見せ、過去数年間に見られた貿易障壁の構築傾向が鈍化しました。
「OECDサービス貿易制限指数: 2022年までの政策動向(OECD Services Trade Restrictiveness Index (STRI): Policy trends up to 2022)」によると、昨年は対象となる22の主要産業部門すべてにおいてサービス貿易に対する新たな障壁の構築が鈍化し、自由化が貿易制限を上回りました。インデックス(STRI)の対象となる産業部門全体の障壁における平均累積増加は、2021年には2020年の6分の1で、新しい貿易制限の量と効果の双方が大幅に減少したことがわかります。
貿易が自由化されたのは、主に航空輸送サービス、商業銀行、コンピューターサービスです。規制緩和の影響が特に大きかったのは、他の市場にある商業拠点を通じて、また一時的な人の移動を通じて提供されるサービスです。
本報告書では、世界のサービス輸出の80%以上を占める50か国のサービス貿易規制を対象としており、規制のベストプラクティスと自由化という点で最優良国を特定していますが、その中には、チェコ、日本、チリが含まれています。
また本報告書では、サービス貿易に障害をもたらした新たな措置、特に海外投資の審査が厳格化していると指摘しています。これは2020年にすでに高まっており、2021年もその傾向が続きました。その他の規制変更は、新型コロナウイルスのパンデミックに対応して実施されましたが、それは政府が公衆衛生を保護し、経済的影響を緩和するための措置を実施したことによるものです。ただし、ほとんどの新型コロナ対策は、医療、防護用品、生活必需品など、STRIの対象とならない産業部門で一時的または的を絞って実施された支援措置であるため、STRIデータベースにはほとんど影響していません。
サービス貿易の障壁を緩和するための野心的な取り組みは、特に2021年に明らかになった傾向が今後も続けば、国際的にサービス提供を行う企業の貿易コストを削減する上で大きな利益をもたらす可能性があると、OECDは指摘しています。各国が最良の実績を上げている国々との規制格差を半分に縮小できれば、サービス貿易コストは全産業部門の平均で、中期的には6%から15%減少する可能性があります。包括的な貿易投資協定において、新しいサービス市場への参入の確約などの野心的なサービス貿易を規定すれば、そのような利益を促進することができると、本報告書は述べています。
OECDの年次モニタリングで特定されたサービス貿易の市場開放の傾向は、サービス貿易の自由化という集団的意志を明らかにした2021年末のサービスの国内規制に関する付属書(WTO Reference Paper on Services Domestic Regulation)の採択に沿うものです。OECDの分析によると、WTOの新協定の内容が完全に実施されれば、年間のサービス貿易コストを1,500億米ドルも節減でき、金融サービス、ビジネスサービス、通信、輸送サービスに大きな便益がもたらされます。
サービス貿易市場が開放されればサプライチェーンの回復力が高まり、サービス貿易コストが低下すれば、新型コロナのパンデミックのショックからの輸出業者の回復が促進されます。多国間貿易規則とサービスに対する公開公約(open commitments)は、こうした便益を確たるものにし、海外市場への参入を模索している企業に確実性を提供することができます。
サービス貿易に関するOECDの取り組みの詳細については、下記ウェブサイトをご覧ください。
https://www.oecd.org/trade/topics/services-trade/
報道関係者のお問い合わせは下記までお寄せください。
John Drummond, Head of the Trade in Services Division of the OECD Trade and Agriculture Directorate (+33 1 45 24 95 36), or Lawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 45 24 79 70).
OECDは、100か国以上と協力して、世界中の人々の経済的および社会的福祉を改善するための政策を推進するグローバルな政策フォーラムです。
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs