2015年7月3日
勢いの衰えない石炭火力発電に対して、新たな投資がつぎ込まれていることが気候への最も喫緊な脅威をもたらしているため、政府はエネルギー供給としての炭素の役割を再考すべきであると、アンヘル・グリアOECD事務総長は述べました。
各国は、石炭の真のコストを測るべくより厳しい審査を執り行うべきです。炭素課金は、環境、健康、財政すべてのコストを十分に反映できたものでなく、今日建てられている多くの石炭火力発電所も経済的寿命を迎える前に閉鎖せざるを得なくなるかもしれません。グリア事務総長は、LSE及びAviva Investors主催ClimateWise協力のイベントにて講演し、上記の点を強調しました。
もし、いくつかの途上国にとって、低炭素の代替エネルギーが石炭発電に比べてコストが高すぎると証明されたとすれば、ドナー国がその財政コストのギャップを埋めるよう財政支援をすべきです。
グリア事務総長は、「石炭は安くない。各国政府は、本当に石炭が国民とって良い結果をもたらすかどうか真剣に懐疑視すべきである」と述べました。(スピーチ全文はこちら )
新たな緩和措置が無ければ、今から2050年までに石炭発電は500兆トン以上のCO2を排出すると予測されており、これは、気温上昇2度以内の目標のための残りの炭素収支(Carbon Budget)の半分を食い尽くすことになります。
より広い目で見ると、ポスト2020排出削減への各国からの貢献は、気温上昇を2⁰Cに抑えるという道筋と足並みがそろっていないとグリア事務総長は警鐘を鳴らしました。また事務総長は、低炭素への対応の時間は迫っており、パリで12月に開催されるCOP21会議では、各国政府がより高いレベルの野心的目標に向かう決意があるという明確かつ信頼できるシグナルを発信しなければならないと指摘しました。
グリア事務総長は、「現在各国政府がテーブルに出している緩和の貢献度は、我々が2030年までに達成しなければならない目標にはほど遠い。目標達成へのプロセスであると言ったところで、結果を約束していることと同じではないからだ。我々は過去20年間も達成に向けたプロセスにいる状態だったが、今のところコミットメントだけでは何も達成できていない」と述べました。
石炭への投資が続いていることは、気候目標と各国政策の間に数多く見られる「ズレ(misalignments)」のうちのひとつです。本日OECD、IEA、ITF、NEAが共同で発表した「低炭素への移行のための政策調整(Aligning Policies for a Low-carbon Transition) 」によると、、税から貿易、電力市場規制や土地活用という多くの分野において、政策のズレがどれだけ気候変動措置に影響を与えるかがわかります。世界のエネルギー投資の3分の2が依然として化石燃料につぎ込まれ、OECD諸国における農業補助の50%が気候に悪影響をもたらし、多くの税引当が化石燃料生産や消費を後押ししています。
このような一貫性に欠ける政策は各国の気候変動の取組みの効果を限定的にしてしまい、低炭素への移行のコストを増大させてしまいます。
グリア事務総長は、このような政策のズレを解決するためにすべきことを各国政府に呼びかけ、その皮切りとして、各省庁が期待する気候目標に逆行している政策に関して定期的に報告するよう呼びかけました。
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報道関係者の詳細お問い合わせはOECDパリ本部メディア課の Caroline Tourrier (caroline.tourrier@oecd.org ; 0033 1 45 24 80 99) までご連絡ください。
「低炭素への移行のための政策調整(Aligning Policies for a Low-carbon Transition)」レポートのダウンロードはこちら
気候変動に関するOECDの活動に関して: www.oecd.org/environment/cc/
COP21 に向けた準備に関して: www.oecd.org/environment/cc/cop21.htm
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