2022年9月21日 - OECDの新報告書によると、各国が新型コロナウイルスのパンデミックからの景気回復を促進し、エネルギー価格急騰の影響への対応を模索する今、租税政策は重要な役割を果たしています。
『税制改革2022 (Tax Policy Reforms 2022)』は、OECDの全加盟国と「税源浸食と利益移転に関するOECD/G20包括的枠組み(OECD/G20 Inclusive Framework on Base Erosion and Profit Shifting)」の一部加盟国を含む71の国・地域の最近の税制改革について論じています。
本報告書によると、税制改革、特に労働に対する課税の減免とより寛大な法人税制上の優遇措置は、各国が成長を刺激し、パンデミックからの経済回復を促進するために使用した重要な政策手段の一つでした。
2021年後半からエネルギー価格が急上昇したため、各国は減税を含む臨時の財政支援と、インフレを助長しうる既存の景気刺激策の先送りによって、家計と企業を保護すべく迅速に対応しました。
‑パスカル・サンタマンOECD租税政策・行政センター所長は次のように述べました。「最近の税制改革は、COVID-19からの景気回復の促進を目的としており、財政的余力が大きい国々ほど、より寛大な税制優遇措置を長期間にわたって行っている。また、各国はエネルギー価格の急激な上昇に対応するため、租税政策を主要手段の一つとして利用してきた」
個人所得税と社会保険料は、2021年にほぼすべての対象国で引き下げられ、そのほとんどは低所得世帯を対象とした雇用支援と所得補償給付(in-work benefits)でした。また、多くの国々で投資とイノベーションを刺激するための法人税制上の優遇措置が強化されました。
最も重要な付加価値税(VAT)改革は、電子請求とデジタル報告要件の大幅な増加など、デジタル経済と電子商取引に焦点を当てたものでした。2021年には固定資産税改革があまり行われず、少数の国々で投資手段としての不動産利用を減らし、住宅市場の公平性を向上させるための施策が実施されたにとどまりました。
本報告書の特集では、家計と企業をエネルギー価格高騰の影響から守る重要な支援を行うために、政府が租税政策をいかに活用してきたかを明らかにしています。本報告書では、2022年半ばまでに導入されたエネルギー価格引き下げ策が急速に展開され、比較的容易に実施できることが多かったと述べています。しかし、政府がリスクに晒されているグループに対してより的を絞った対策を提供し、価格ショックに弱い家計の回復力を高め、さらに代替エネルギー源と交通手段の開発を加速させることができるとも指摘しています。
本報告書、データ、概要は、下記ウェブサイトに掲載しています
www.oecd.org/tax/tax-policy-reforms-26173433.htm
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
David Bradbury (+33 1 45 24 15 97), Head of the Tax Policy and Statistics Division in the OECD Centre for Tax Policy and Administration (CTPA),
Bert Brys (+33 1 45 24 19 27), Head of the Country Tax Policy Unit in CTPA,
Lawrence Speer in the OECD Media Office.
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