OECD - パリ、2022年8月29日
経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)が本日発表した分析によると、多くの国々が非効率な化石燃料補助金を廃止するという長年の公約と、エネルギー価格高騰から家計を守る努力とのバランスを取るのに苦労する中、主要諸国は石炭、石油、天然ガスの生産と消費への助成を大幅に増やしています。
OECDとIEAの新データによると、世界51カ国の化石燃料に対する政府助成が、世界経済の回復に伴うエネルギー価格の上昇により、2020年の3624億米ドルから2021年には6972億米ドルとほぼ2倍に増加したことが明らかになりました。また、燃料価格の上昇とエネルギー使用量の増加により、2022年には消費助成がさらに増加すると予想されています。
マティアス・コーマンOECD事務総長は次のように述べています。「ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、エネルギー価格の高騰を招き、エネルギー安全保障を損なった。化石燃料助成の大幅な増加は、無駄な消費を促す一方で、低所得世帯には必ずしもその恩恵が届いていない。我々は、カーボンニュートラルとエネルギー安全保障、そして手頃なエネルギー価格という路線を維持できる方法で、市場や地政学的な力の変化による極端な影響から消費者を保護する手段を講じる必要がある」
「化石燃料助成は持続可能な未来の妨げであるが、燃料価格が高騰し変動しやすい時期に、政府が助成を撤廃することは難しい。クリーンエネルギー技術とインフラへの投資の急増は、今日の世界的なエネルギー危機に対する唯一の持続的な解決策であり、消費者が重い燃料費負担を強いられないようにするための最良の方法である」ファティ・ビロルIEA事務局長は次のように述べています。
OECDとIEAは、化石燃料に対する様々な形態の政府助成の推定値を提供する補完的なデータベースを作成しています。OECD-IEAによる今回の推計では、OECD、G20、その他33の主要なエネルギー生産国および消費国にまたがる主要51カ国を対象としています。これらの国々は、世界の総エネルギー供給の約85%を占めています。
OECDがG20諸国における石炭、石油、ガス、その他の石油製品の生産と使用に関連する予算移転と減税措置を分析したところによると、化石燃料助成の総額は2020年の1470億米ドルから2021年には1900億米ドルに増加しました。生産者助成は2021年は640億米ドルで、OECDの過去の追跡調査で見られなかった水準に達しており、対前年比ではほぼ50%増、2019年の水準を17%上回りました。これらの助成で、2021年後半に世界的にエネルギー価格が高騰した際に、国内の価格統制による生産者の損失が一部相殺されました。消費者助成の推定値は、2020年の930億米ドルから1150億米ドルにまで上昇しました。
IEAは、国際市場における価格と国内消費者の支払価格とを比較して、化石燃料助成の推定値を算出しています。後者は、直接価格規制や価格設定方式、国境管理または租税、また国内の購入または供給義務などによって人為的に低く抑えられています。42カ国を対象としたIEAの分析によると、エネルギー価格の高騰により、2021年の消費者助成は2020年の3倍以上となる5310億ドルまで増加しました。
OECD と IEA は一貫して、エネルギー安全保障とエネルギー効率の改善と並行して、非効率な化石燃料助成を段階的に廃止し、公的資金を低炭素代替燃料の開発に振り向けることを求めています。低所得世帯を支援するための助成は、燃料やエネルギーをより多く使用する富裕世帯を優遇する傾向があるため、より対象を絞った支援に置き換える必要があります。
詳しくはこちら:www.oecd.org/fossil-fuels/
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