OECD ーパリ、2021年2月9日
サービス貿易の規制環境が2020年に厳しさを増し、新たな障壁ができて輸出業者にとっては新型コロナウイルスのパンデミックのショックの一端となっていたことが、OECDの新報告書で明らかになりました。
「OECDサービス貿易制限指標:2021年までの政策の傾向(OECD Services Trade Restrictiveness Index (STRI): Policy trends up to 2021)」によると、サービス貿易に新たな障壁が設けられるペースが、主要産業部門全てで加速しています。コンピュータサービス、商業銀行、放送事業など幅広い商業事業者を通じて取引されているサービス業が、新たな規制の影響を受けています。世界全体のサービス貿易は、2020年第2四半期には前年同期比30%の落ち込み、第3四半期はわずかに持ち直しましたが、それでも前年同期比24%の落ち込みとなりました。
全体的に見ると規制が強化される傾向はありましたが、世界中の国々の政府は2020年は、新型コロナウイルスのパンデミックに対する分野横断的政策対応の一環として、国境を超えるデジタル貿易の障壁を引き下げるよう努めていました。前年と比べるとデジタル貿易を促進する措置が増加し、リモートワークやオンラインによる事業運営の一助となりました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べています。「パンデミック期に貿易が大きく変化した。交通と旅行は崩壊したが、デジタルでやり取りされる貿易と電気通信などのサービスは経済の危機対応能力に寄与している。世界中の国々の政府が世界経済を強く包摂的で持続可能な回復の軌道に乗せようと模索する今、サービス貿易規制の撤廃が不可欠である」
本報告書は、世界全体のサービス輸出の80%以上を占める48カ国のサービス貿易規制を対象としており、規制に関するベストプラクティスという観点からトップの実績を上げている国々を特定しています。その中には、チェコ、ラトビア、オランダ、日本、リトアニア、英国が含まれています。また、ブラジル、中国、アイスランド、インドネシア、カザフスタンの最近の改革の取り組みにも焦点を当てています。
サービス貿易への障壁を緩和する各国ごと及び集団的な取り組みにより、国境を越えてサービスを提供する企業の貿易コストを下げることができます。もし各国が良好な実績を上げている国々との規制に関する差を半分に縮めることができれば、産業部門及び諸国の平均で、サービス貿易のコストは3~5年後には15%以上減らすことができる見込みです。総合的な貿易投資協定によるサービス市場へのアクセスに関わる新たな公約など、意欲的なサービス貿易への取り組みにより、そのような便益をさらに高めることができると、本報告書は述べています。
OECDのサービス貿易に関する研究の詳細は、こちらをご覧下さい。
日本のカントリーノートはこちらからご覧ください。
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