2014年11月27日

 

アジア・太平洋地域のほとんどの国は、より多くの人々が手頃で良質の医療にアクセスできるようにするために努力を重ねなければならなりません。最新のOECD報告書によると、高額なために、医師の診察を受ける許可を得るのが困難なために、または地方での医療提供者不足のために、数え切れないほど多くの人々、特に女性が、必要な医療を受療できないでいます。

これらの問題にも関わらず、「図表で見る医療　アジア・太平洋　2014年 - 国民皆保険に向けた進展の評価」はアジア22カ国の平均寿命が1990年から約7年延び、2012年には73.4歳に達したと明らかにしています。それと比較して、同時期のOECD諸国の延びは5.3歳でした。

しかし大きな地域間格差が残っています。最も寿命が長いのは香港で男性と女性の平均が83.3歳です。日本、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、韓国とマカオでも平均寿命が80歳を超えています。

その一方、アジア・太平洋地域の11カ国では平均寿命が70歳を下回っており、パプアニューギニアとミャンマーでは、2012年に生まれた子供は平均して65歳かそれより短くしか生きることができないと予想されます。

報告書では、2013年の世界の糖尿病による5.1百万の死亡件数の内、アジア・太平洋地域が60%以上を占め、高い有病率であることも明らかにしています。この地域では約2億千5百万人が糖尿病を患っており、その半分が診断されずまたは長期合併症を引き起こしていることに気付かずにいます。

「図表で見る医療　アジア・太平洋　2014年」の他の結果は下記を含みます。

健康状態

• 産婦死亡数は平均してOECD諸国では出生数10万当たり6件であるが、アジアの国々ではその大体15倍である。1990年から2013年までの間にアジア諸国の産婦死亡率は平均して48%削減された。
• アジア・太平洋地域では、心血管疾患が全死亡件数の3分の1ほどの原因であるが、感染病による死亡の主要原因は結核である。2012年に世界で結核に苦しむ8.6百万人の内6.3%を越える人々がこの地域で暮らしていた。
• アジアでの65歳以上の高齢者の割合はこれから40年間で4倍ほどになり、2050年には26%に達し、OECD諸国を越えると見込まれる。

医療資源

• この地域の医師と看護師数は人口千人当たりそれぞれ約1.2と2.8で、OECD平均の3.2と8.7を大きく下回る。
• アジアでは、人口千人当たりの病床数が平均して3.3で、OECD平均の4.8よりも低いが、大きな格差がある。日本では最も多く人口千人当たり13床であるが、フィリピンでは最も少なく千人当たり0.5である。

医療費

• OECD諸国では一人当たりの医療費は3510米ドルだが、アジアでは730米ドルを少し超えている。医療費はOECD諸国ではGDPの9.3%を超えるが、アジアでは平均してGDPの4.6%を超える。
• 総医療費の公的支出の割合は、OECD諸国と比較するとアジアでは断然低く、72.7%に対し48.1%である。
• アジアでは一人当たりの実質医療費の成長率は2000年から2012年まで平均して年率5.6%で、GDPの成長率である4.3%を上回った。中国とモンゴルの成長率はさらにいっそう早く、地域平均の2倍ほどであった。

 

「図表で見る医療　アジア・太平洋　2014」は世界保健機関との共同報告書でアジア・太平洋の27の国と経済圏での健康状態、その決定要因、医療資源・活用、医療支出・財政と医療の質の主要な指標をまとめています。この報告書は、国民皆保険に向けた国々の進展を支援し国民の健康向上のために、政策立案者により良い政策作りと実施に役立つよう包括的で使いやすい枠組みを提供しています。

詳細とダウンロード可能なPDF版は http://www.oecd.org/els/health-systems/health-at-a-glance-asia-pacific-23054964.htm

日本に関する資料はこちら

 

詳細に関する問い合わせ先：

藤澤理恵　OECD医療課（+33 1 45 24 14 09または rie.fujisawa@oecd.org （日本語可））

Kenichiro Taneda 世界保健機関　西太平洋地域事務所　Health Services Development（HSD ）division　（+63 2 5289883 or tanedak@wpro.who.int）

Sunil Senanayake　世界保健機関　東南アジア地域事務所　Health Systems Management and Patient Safety division （+91 11 2330 9330 or senanayakes@who.int）