OECD - 2017年5月24日
最新のOECD生徒の学習到達度調査(PISA)の金融リテラシーに関するテストに参加した15カ国*の生徒の約4人に1人は、日々の支出に関する単純な決定さえできず、所得税のような複雑な問題を理解できる生徒は10人中わずか1人です。
このテストには、15歳の生徒約48,000人が参加し、銀行口座とデビットカードの扱いやローンの利率またはモバイル端末からの支払いに対する理解といった、お金の扱い方や個人の財産に関する10代の若者の知識と技能を評価しました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、オランダのマキシマ女王(発展のための包摂的金融に関する国連事務総長特別支援者兼金融包摂性に関するG20グローバルパートナーシップ名誉後援者)とともにパリで行われたPISA 2015 Results (Volume IV) Students' Financial Literacy発表会見で、次のように述べました。「今日の若者は、急速な社会経済の変化、デジタル化、テクノロジーの変化などにより、以前よりも難しいお金に関する選択を迫られ、より不安定な経済見通しと雇用見通しに直面している。しかし、彼らは自分の財政的な暮らし良さに影響を及ぼす事柄について、情報に基づいた決定を下すために必要な教育も訓練も受けておらず、ツールも持っていない場合が多い。そのため、金融リテラシーという生活技能を改善する手助けをするために、我々が国際的な取り組みを強化することは、これまで以上に重要である。」
平均点が最も高かったのは中国の北京市、上海市、江蘇省、広東省で、続いてベルギーのフランドル地方、カナダの一部地域(ブリティッシュコロンビア、マニトバ、ニューブランズウィック、ニューファンドランド・ラブラドール、ノバスコシア、オンタリオ、プリンスエドワード島)、ロシア、オランダ、オーストラリアとなっています。
金融リテラシーが高い生徒は、PISAの読解力と数学力でも良い成績を収める傾向があり、金融リテラシーが低い生徒は、PISAの科目の成績も低い傾向があります。しかし、この調査に参加したOECD加盟10カ国の平均で、金融リテラシーの点数の約38%には、金銭スキルに特有の要素が反映されています。
金融リテラシーにおける男女差は、読解力と数学の場合よりも遙かに小さくなっています。イタリアだけは、男子生徒の方が女子生徒よりも良い成績を収めていますが、オーストラリア、リトアニア、スロバキア、スペインでは、女子生徒の方が良い成績を収めています。
社会経済的に恵まれている生徒の方が、恵まれていない生徒よりも遙かに良い点数を出しました。また、現居住国生まれの生徒の方が、社会経済的地位が同程度の移民の生徒よりも良い成績を収めており、それは特にベルギーのフランドル地方、イタリア、オランダ、スペインで顕著に見られました。別の見方をすると、社会経済的地位と成績との強い結びつきが示すのは親の支援だけでは不十分だということで、平等な競争条件を整える上で教育機関が果たすべき役割があります。
平均すると、この研究に参加したOECD諸国の生徒の64%が、放課後の時間に働いたり、不定期で非公式の仕事をしたりするなど、何らかの公式または非公式の活動により金銭を稼いでいます。約59%の生徒は、給付を受けたり、お小遣いをもらったりしています。
さらにこの調査から、56%の生徒が銀行口座を持っていること、しかし生徒の3人にほぼ2人は口座を管理する技能を持っておらず、銀行取引明細書を理解できていないことが明らかになりました。
* 調査参加国:オーストラリア、ベルギー(フランドル地方)、ブラジル、カナダ(ブリティッシュコロンビア、マニトバ、ニューブランズウィック、ニューファンドランド・ラブラドール、ノバスコシア、オンタリオ、プリンスエドワード島)、チリ、中国(北京市、上海市、江蘇省、広東省)、イタリア、リトアニア、オランダ、ペルー、ポーランド、ロシア、スロバキア、スペイン、米国。
ベルギー、リトアニア、スロバキアを除く全ての国について、カントリーノートがあります。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org / tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
本書と、国別分析、サマリー、データは、下記のサイトで公開しています。
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