OECD-パリ、2021年4月29日
新型コロナウイルス危機の結果、賃金税は2008~09年の世界金融危機以来最大の減少となりました。
OECDの新報告書、Taxing Wages 2021 によると、世帯所得の減少とパンデミック関連の税制改革で、OECD諸国の賃金に課される税が幅広く減少しました。
本報告書では、2020年のOECD諸国の税のくさび-雇用者と雇用主が支払う労働税の総額から家族給付額を差し引いた額が雇用主が支払う労働コストに占める割合-が記録的に下がったことを強調しています。
平均的な賃金を得ている独身労働者の税のくさびは2020年は34.6%で、前年より0.39ポイント下落しました。これは大きな下落ですが、それでも、世界金融危機の時(2008年は0.48ポイント、2009年は0.52ポイントの下落)ほどではありません。OECD加盟37カ国のうち、2019~20年に税のくさびが上昇した国は7カ国、下落した国は29カ国でしたが、後者の主な原因は所得税の引き下げにあります。
税のくさびが下落したことは、子供がいる世帯の税率が記録的に下がることになるため、この世帯構成には特に重要です。平均賃金を得る稼ぎ手が一人で子供がいる夫婦の税のくさびの平均は、2020年は24.4%で、2019年より1.1ポイント下落しました。これは、この世帯構成については、OECDがTaxing Wagesを出版し始めた2000年以来、最大の下落幅で最低の水準です。
2019~2020年に、この世帯構成の税のくさびが下落した国は31カ国に上り、上昇した国はわずか6カ国でした。16カ国では、下落幅が1ポイント以上でした。特に下落幅が大きかったのは、リトアニア、米国、ポーランド、イタリア、カナダ、韓国です。1ポイント以上上昇したのは、ニュージーランドのみです。
OECD諸国平均の税のくさびは、独身の平均賃金の労働者が34.6%、稼ぎ手が一人で子供がいる夫婦が24.4%で、その差は2019年以降0.7ポイント拡大しました。これは、新型コロナ危機の最中に子供がいる家庭に追加支援を行った政策が反映されています。
独身の労働者、稼ぎ手が一人で子供がいる夫婦、一人親という世帯構成の税のくさびが下落したのは、主に各国の租税政策が変更された結果ですが、一部の国々では平均賃金の下落が原因となっています。それに対して、税のくさびが上昇した要因はほぼ全ての国々で平均賃金の上昇であり、政策変更がわずかにそれを相殺しています。
具体的な新型コロナ関連措置がこの数値に影響した10カ国では、支援は主に現金給付の拡充、または1回限りの現金給付で、子供がいる家庭への支援に重きを置いています。
本報告書によると、労働税は引き続きOECD諸国間で大きな違いがあり、平均賃金の独身労働者の税のくさびは、コロンビアでは0%、ベルギーは51.5%です。
詳細及び国別レポートはこちらからご覧ください。
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David Bradbury, Head of the OECD’s Tax Policy and Statistics division (+33 1 4524 1597)
Lawrence Speer (+33 1 4524 7970) in the OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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