OECD-新潟、2019年5月11日
日本の農業部門は、これまで小規模の稲作農家が主流でしたが、近年、急成長する東アジア全体でより高付加価値な農産物・食品を求める新たな市場のチャンスが生まれていることに対応し始めています。今日、コメが占める割合は農業生産額の20%に満たず、より大規模で生産性が高く、収益の高い農業経営が全農業生産の半分以上を占めています。農業食品部門はテクノロジー集約的、データ集約的になっており、日本は高付加価値な農産物の生産ネットワークを周辺地域に拡大する大きな可能性を秘めていると、OECDの新報告書「日本の農業のイノベーション、生産性、持続可能性(Innovation, Agricultural Productivity and Sustainability in Japan)」は述べています。
本報告書によると、農業は日本経済の他の部門とは異なる扱いを受けてきており、かなりの程度小規模農家を市場から切り離し支えられてきました。1990年以降農業生産額が25%以上、農家や農業従事者の数が50%以上減少したにもかかわらず、過去の農業政策は日本経済に大きな負担となっていました。本報告書では、農家が経営について自由な意思決定を行えるようにするとともに、生産性向上と天然資源の持続可能な利用を促すために必要とされる技術を利用できる環境を整えるために、日本は農業政策に新たなアプローチを採る必要があると提案しています。
ケン・アッシュOECD農業貿易局局長は、新潟で開催されているG20農業大臣会合で行われた本報告書の発表会見で、次のように述べました。「世界市場は和食及び日本の食料品に対して非常に良いイメージを持っており、それは農業部門が付加価値の高い食料品にその焦点を移行させる確かな基盤となっている。今後の成功は、日本の農業が日本経済全体のイノベーションシステムと世界的なテクノロジーの発展から確実に便益を得られるかどうかに大きく左右される。」
本報告書によると、農業のイノベーションは、デジタル技術のような農業部門以外で開発されるテクノロジーに大きく依存するようになっており、イノベーションが国内、地域的、全世界的なバリューチェーンの統合という世界的なトレンドを今後も支えていくことになります。日本も、他の多くの国々と同様に、公共政策をそのスピードに遅れないようにする必要があります。
日本語の「要旨、評価と提言」は、こちらからダウンロードできます。
本報告書は、OECD iLibraryで閲覧できます。
G20新潟農業大臣会合セミナーの様子はこちらからご覧いただけます。(YouTube)
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
OECD Media Officer Yumiko Yokokawa (Tel. 03-5532-0021)
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs