OECD-パリ、2019年5月31日
国際社会は、経済のデジタル化によって生じる課税問題解決のためのロードマップに合意し、2020年末までに合意に基づく長期的解決を実現するために引き続き努力することを公約しました。
129カ国が加盟する税源浸食・利益移転に関するOECD/G20包摂的枠組み(OECD/G20 Inclusive Framework on Base Erosion and Profit Shifting, BEPS) は、多国籍企業への課税について新たに世界的な合意を形成するためのプロセスを明確化した作業プログラム(Programme of Work)を採択しました。
この文書は、2つの主要テーマについて国際的な論議を集中的に行うよう求めており、5月28~29日に開催され、加盟99カ国及びオブザーバー10機関から289名の代表が参集したこの包摂的枠組みの総会で承認されました。これは、6月8~9日に福岡で開催されるG20財務大臣会合にて、アンヘル・グリアOECD事務総長から各国財務大臣に承認を求めることになっています。
この作業プログラムでは、2019年1月に公表されたPolicy Noteの分析と、2019年3月に開催された公聴会を参考に、次の2つの主要テーマに沿って解決すべき技術的な問題を考察しています。そのテーマの1つ目では、どこで納税すべきかと、顧客または利用者が居住している国においては何に基づいて(つながり、"nexus")、利益のどのくらいの割合に課税できる、または課税すべきか(利益配分、"profit allocation")を決定するための解決案を考察しています。
2つ目のテーマでは、多国籍企業がデジタル経済に関係するところでもそうでないところでも最低限の税を収める制度の構築について考察しています。このテーマによって各国は、自国の税源を税率が低い、または無税の国々への利益移転から保護するためのツールを手にすることができます。また、OECD/G20のBEPSイニシアチブで特定されている残された問題に取り組むことも目指しています。
2015年にOECDは、BEPSによって失われた歳入額は最大2400億米ドル、世界全体の法人税収の10%に上ると推定し、BEPSと闘うための国際的な手段を調整し、国際課税ルールを改善するための包摂的フォーラム(Inclusive Forum)を創設しました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べています。「この新しい作業プログラムの採択によって重要な進歩があったと言えるが、2020年末までに統合された長期的解決を経済のデジタル化によって提起される課税問題に与えなければならないことから、まだ取り組むべき問題が山積している。本日、この技術面のロードマップに合意が得られたが、それに続いて国際課税制度を維持、強化、改善する解決策に向けて、強い政治的支援を行わなければならない。我々全ての国々の健全性はそれにかかっている。」
包摂的枠組みでは、政府の歳入、経済成長、投資にどのように影響するかというインパクト評価によって技術的な作業を補完することが合意されています。技術的な問題に取り組むための一連の作業部会の設置が義務づけられていますが、包摂的で統一された解決策についての政治的合意になるべく早く、できれば2020年中に作業を完了するための適切な時間を確保するために本年末までに達するべきだとしています。
OECD/G20 BEPSプロジェクトの詳細は、下記のウェブサイトをご覧下さい。
www.oecd.org/tax/beps/
ジャーナリストの方々は、下記まで直接お問い合わせください。
Pascal Saint-Amans, Director of the OECD Centre for Tax Policy and Administration (+33 1 45 24 91 08)
Lawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 4524 7970).
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