OECD ‐ パリ、2019年6月7日
OECDが本日公表した新データによると、自動的な金融口座情報交換を通して透明性を改善するという国際的な取り組みにより、税務コンプライアンスが改善し、世界中の国々の政府に具体的な成果がもたらされています。
OECDの共通報告基準(Common Reporting Standard, CRS)に基づくグローバルな透明性イニシアチブに2018年以降参加している90以上の国々は、現在では総額が4.9超ユーロに上る4700万件のオフショア口座についての情報を交換しています。4500件の二国間関係を通じて行われる自動情報交換(AEOI)イニシアチブは、史上最大の租税情報交換システムであるとともに、過去20年以上にわたる脱税への国際的な取り組みの蓄積でもあります。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、福岡で開催されるG20財務大臣会合に先駆けて行われた本発表会見で、次のように述べました。「国際社会は、税務における透明性においてかつてない成果を上げており、今後数年で、各国は歳入と税務サービスにおいて具体的な成果を得られるだろう。G20を通じて我々が設計、実施してきた透明性イニシアチブによって、膨大な量のオフショア口座が明らかになり、世界中の税務当局は今では有効に課税できるようになった。国境を越える金融活動の継続的な分析から、すでに自動的な情報交換が税務コンプライアンスをいかに強化しているかが明らかになっており、我々はさらに確たる成果が現れると期待している。」
AEOIイニシアチブの完全実施に先駆けて行われた、オフショア口座、金融資産、所得情報の自発的な情報開示によってOECD諸国及びG20諸国にもたらされた追加的歳入額(税、利息、罰金)は、2009年から2019年に950億ユーロに上りました。この累計額は、2018年11月にOECDが行った発表以降に、20億ユーロ増加しています。
先行研究で用いられた方法論を引用したOECDの予備分析からは、AEOIが国際的な金融センター(IFCs)の銀行預金に非常に大きな影響を及ぼしていることがわかります。主要な40のIFCsにおいて企業及び個人が保有する銀行預金は、2000年から20008年の間に大幅に増加し、2008年半ばに1.6兆米ドルというピークに達しました。
この預金額は、透明性基準の厳格化に各国が加盟したため、その後10年で34%、5510億米ドル減少しました。この減少の大部分は、AEOIイニシアチブの着手が原因で、減少分の約3分の2を占めています。具体的には、速報データによると、AEOIがIFCsにおける銀行預金の20~25%の減少につながりました。最終報告書は今年後半に公表される予定です。
グリアOECD事務総長は、次のようにも述べています。「この優れた成果は、我々の様々な取り組みの最初の成果に過ぎない。各国が引き続きデータマッチングその他の調査ツールを通じて受け取った情報を処理しているので、さらに税収が増えることが期待される。我々は、脱税できない世界に確実に近づいている。」
下記ウェブサイトもご参照ください。(6月7日16時公開)
www.oecd.org/tax/exchange-of-tax-information/using-bank-deposit-data-to-assess-the-impact-of-exchange-of-information.pdf
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