OECD - 10月5日
「図表で見る社会2016年版(Society at a Glance 2016)」によると、16歳で技能レベルが低いまま学業を終える若者は、就職がますます難しくなっており、彼らのチャンスはたとえ景気が上向いても改善しない恐れがあります。
OECD諸国全体で15-29歳の人口の15%に匹敵する約4000万人の若者が、就学も就業もしていない、いわゆるニート(NEET)になっています。そのうち3分の2の若者は、求職活動すらしていません。若者全体のほぼ40%は、過去4年間で一時的に不活動状態または失業を経験していますが、そのうち半数は、この期間が1年以上続いており、意欲の喪失と社会的孤絶につながる可能性があります。
30歳未満の労働者が就いていた職業10件あたりほぼ1件が、経済危機の最中に失われました。スペイン、ギリシャ、アイルランドでは、若年就業者数は2007~2014年の間に半減しました。OECD諸国全体で見ると、景気は回復しているにもかかわらず、若者の雇用率は2010年以降低迷したままで、現在も経済危機以前の水準を下回っています。
また、ニートが多いということは、推計3,600~6,050億米ドル、OECD全体の対GDP比0.9~1.5%という経済コストがかかっていることになります。
16歳で後期中等教育を修了することなく学業を終えた若者が、ニートの30%以上を占めています。外国生まれの若者がニートになる確率は、自国生まれの若者の平均1.5倍高く、ドイツ、オーストリア、オランダ、ノルウェーではそれは2~2.25倍に上ります。
ステファノ・スカルペッタOECD雇用労働社会問題局長は、次のように述べています。「低技能の若者が、今日の労働環境で仕事、それも安定した仕事を見つけることは、非常に困難になっている。あらゆる人々が教育と訓練を受けられるように機会を改善しない限り、社会格差が拡大するリスクが高まる。」
OECDによると、早期卒業者への対策が極めて重要です。各国政府は、若者が少なくとも後期中等教育の学歴を得て、教育を続けられる、または職業技能を習得できるようにしなければなりません。改善してきてはいるものの、OECD諸国の25-34歳の6人に1人は、後期中等教育を修了せずに学業を終えています。
女性は男性と比べて、ニートになる確率が平均で1.4倍高くなっています。女性がニートになる理由として、多くが幼い子供の世話をしなければならないということを挙げており、育児のコストの高さが就業の主な妨げとなっています。米国、アイルランド、英国、ニュージーランドでは、1人親の育児コストは、純所得の3分の1から半分を占めている可能性があります。
職業訓練の質を向上させることと、雇用者と協力して実習制度を創設することも重要です。特に最も恵まれない環境にある若者のために充分な実習の場を設けるように、企業に資金的なインセンティブを与える国が増えるべきです。
「図表で見る社会」は、OECD加盟35か国とアルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカの社会の傾向と政策動向の概要を収録したもので、隔年で発表されます。
データと国別ハイライトは、以下のウェブサイトに掲載しています。 http://www.oecd.org/social/society-at-a-glance-19991290.htm
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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