OECD-パリ、2021年5月19日
有害なアルコール摂取を減らす政策に投資すると、数百万人の命が救われます。その投資の経済的便益は、その実施コストよりはるかに大きいと推定されています。
OECDの新報告書、「有害なアルコール摂取の予防 (Preventing Harmful Alcohol Use)」によると、アルコール関連企業への影響を除くと、1米ドルの投資に対する経済的見返りは最高6米ドルに上ります。
OECD、EU加盟諸国及びG20諸国52か国の分析によると、女性では1日1ドリンク、男性では1.5ドリンクが原因の傷病によって、今後30年間に平均寿命が0.9年短くなると見られています。この推定値は国によって大きく異なりますが、それはアルコール消費量と医療サービス提供の違いを反映したものです。平均寿命が最も大幅に短くなるのは、中東欧諸国です。
過度の飲酒が原因の疾病とケガにより、毎年全医療支出の約2.4%に等しい医療費がかかります。労働生産性への影響と併せると、それはOECD諸国のGDPを今後30年間、平均で毎年1.6%引き下げると推計されていますが、その割合は、トルコでは0.2%、リトアニアでは3.8%と、各国間で差があります。
本報告書では、新型コロナウイルスのパンデミックが人々の飲酒習慣に与える影響も分析しています。それによると、飲酒の量と頻度が増加したと答えた人の数の方が、減少したと答えた人よりも多くなりました。暫定値によると、ドイツ、英国、米国では、アルコールの売上が2020年は前年よりも3~5%とわずかですが増加しました。
ロックダウンの期間中、女性、幼い子供を持つ親、高所得者、ストレスや不安を抱える人々のアルコール消費量が、特にオーストラリア、ベルギー、フランス、英国、米国で最も大幅に増加しました。家庭内暴力に関わる緊急通報は、EU諸国で60%増加しました。
本報告書では、未成年による飲酒、大量飲酒、短時間の過剰飲酒といった有害な飲酒傾向が、一部の人口集団で広く浸透している実態を明らかにしています。OECD加盟国では、成人の3人に1人が毎月大量飲酒をしています。高等教育を修了した女性と所得が最低水準の人々と最高水準の人々が、特に有害な飲酒をするリスクが高くなっています。
有害なアルコール摂取に対する各国の取り組みを分析したところ、多くの国々で政策の実施とその有効性は、実施状況の不徹底さ、限られた資源、現場の問題などによって損なわれています。
アルコール飲料の広告を子供に見せないようにする、飲酒運転による交通事故を防止する警察の取り締まり強化、有害なアルコール摂取の症状を持つ患者へのカウンセリングの対象拡大、特に安価なアルコール飲料の販売を抑えるためのの価格政策などの総合的なアプローチの成果が最も大きいと、本報告書は述べています。
本報告書とポリシーブリーフ、国別レポートは、下記ウェブサイトでご覧いただけます。
https://www.oecd.org/health/preventing-harmful-alcohol-use-6e4b4ffb-en.htm.
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Michele Cecchini of the OECD’s Health Division
Spencer Wilson of the OECD Media Office (+ 33 1 45 24 97 00).
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs