OECD -パリ、2021年6月28日
新型コロナウイルスのパンデミックにより、どこの国でも中小企業と起業家が犠牲を強いられていますが、政府による大規模な支援パッケージのおかげで、この困難を切り抜けています。
OECDの新報告書、「OECD中小企業・起業家アウトルック2021年版(OECD SME and Entrepreneurship Outlook 2021)」では、パンデミック期の中小企業の生き残りを支援する措置を考察しています。そうした措置の多くは成功しています。また、本報告書では、危機の長期的影響と各国が環境に配慮した、持続可能性が高く包摂的な復興のための条件をどのように創出しているかということも検討しています。本報告書では、中小企業と起業家が復興を推進する上で必須の存在であり、政府の救済策が重要な役割を果たしていると述べています。
そして多くの有望な兆しが見られます。例えば、オーストラリアとフランスでは、企業のスタートアップ率は現在は危機以前の水準を20%上回っています。危機はまた、中小企業の危機対応能力を強化しています。さらに危機対応力も同様で、OECD諸国の中小企業の50%以上が、デジタルツールの活用を強化しており、中小企業と大企業とのデジタル格差が縮小しています。
また新型コロナウイルスのパンデミックは、グローバルバリューチェーンの変化、地元企業のエコシステムの強化、環境に適応した転換など、中小企業と起業家に新たな機会をもたらしています。
しかし、こうした肯定的な動向にもかかわらず、いくつかの課題が残されています。中小企業と起業家への多くの支援メカニズムは負債の形で提供されており、もし支援が拙速に切り上げられると倒産の波が押し寄せ、復興が妨げられる恐れがあると警告しています。また、政府支援は比較的小規模の若い企業、自営業者、女性や少数者が経営する企業にはあまり有効ではなく、したがって以前から存在している不平等が拡大しています。
マティアス・コーマンOECD事務総長は、国連零細企業・中小企業(Micro, small and medium-sized enterprises, MSME) デーに際して、本報告書の発表会見で次のように述べました。「零細企業、中小企業は、成長の重要なけん引役を担っている。こうした企業はOECD諸国全体の企業の99%を占めており、生産性を高め、成長を強化し、雇用を創出するイノベーションの創出と普及を推進している」デジタルツールは新型コロナウイルス危機の最中に事業を継続する上で不可欠なものとなったため、コーマン事務総長は、より多くの中小企業にデジタル化によって飛躍するよう呼び掛けています。(UNオンラインイベントはこちらからご覧になれます)
本報告書は、OECD MSMEウィークに発表される報告書の第一弾で、最近の復興政策が、より良い復興に向けて中小企業のデジタル化、学び直し、環境への配慮をいかに優先しているかということも強調しています。将来に備えて、中小企業のイノベーションと起業を活性化させる政府の能力は、そうした企業、起業家を幅広い復興のエンジンに取り込むためのカギを握っています。
本報告書には38か国の国別プロフィールを収録しており、中小企業の実績と起業のトレンドについて考察し、中小企業と起業家の脆弱性と危機対応能力の要素を評価しています。また、このプロフィールには、中小企業の流動性を確保しその復興を支援するための各国の中小企業・起業政策枠組みと、最近の政策イニシアチブも収録されています。
本報告書はこちらからダウンロードできます。
OECDの中小企業に関する活動の詳細は、こちらからご覧ください。 http://www.oecd.org/cfe/smes/
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Sandrine Kergroach (sandrine.kergroach@oecd.org) in the Centre for Entrepreneurship, SMEs, Regions and Cities
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