2014年5月6日
世界経済は今後2年にわたり強さを増すが、失業者やその他の経済危機の遺産にさらに対処することが緊急に求められていると、OECD Economic Outlook最新号は述べています。
「先進諸国では成長の機運が高まっており、世界経済の成長の回復を牽引しているが、一度は行き詰まった投資や貿易などの経済のエンジン気筒が再び回転し始めた」と、アンヘル・グリアOECD事務総長は、パリで開催されているOECD年次閣僚理事会・フォーラムでのEconomic Outlook発表会見で述べました。
「しかし、未だに高い失業率という課題を抱える世界で、各国は経済的回復力を高め、成長を社会全体に行き渡らせ、雇用創出を強化しなければならない。今こそ改革の時だ。成長を加速させると同時にあらゆる人に機会を創出して経済活動の恩恵を受けられるようにする政策が広く共有されている。」 (事務総長スピーチ全文はこちら )
OECD加盟34か国全体のGDP成長率は、2014年は2.2%、2015年には2.8%に達すると、Economic Outlookは予測しています。 世界経済全体では、2014年の成長率は3.4%、2015年は3.9%になる見込みです。
主要先進諸国のうち、経済回復が最も顕著だったのは米国で、2014年の成長率は2.6%、2015年は3.5%になると予測されています。 ユーロ圏は3年間続いたマイナス成長からプラスに転じ、2014年は1.2%、2015年は1.7%になる見通しです。 日本では、財政再建策が強く求められているため、成長が落ち込み、2014~2015年は1.2%前後の伸びになると予測されています。
BRIICS諸国(ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカ)は、今年は平均5.3%、2015年は5.7%の成長が見込まれています。 中国はBRIICS諸国で最も早い成長を遂げており、2014~15年は7.5%をわずかに下回る程度になります。
Economic Outlookは、様々な肯定的な動向だけでなく、経済成長を押し下げる重大なリスクにも注意を喚起しています。 投資と貿易は、いずれも増加の兆しが見えていますが、過去の水準と比較すると、その伸びは未だ緩やかです。 先進諸国では財政状況は改善しつつありますが、新興諸国では金融がより逼迫し、供給サイドの弱点によって成長が弱まっています。
失業率は経済危機の初期に見られた歴史的に高い水準からは下がっていますが、OECD地域全体で2015年末の時点で4400万人以上が未だ失業状態にあると予測されています。これは経済危機の前よりも1150万人多いことになります。
OECDは経済回復をさらに強化するための様々な政策要件を明らかにしています。 特に、インフレ率が下がり続けている中さらなる金利引き下げが必要とされるユーロ圏と、資産購入を計画通り続けるべき日本では、金融緩和政策が引き続き必要とされています。 米国では、経済回復はより堅調に根付いており、連邦準備制度理事会による資産購入を2014年の間に段階的に停止し、2015年中に政策金利を引き上げるべきです。
欧州で続く金融市場の脆弱性を受けて、OECDは、銀行部門の健全化、本格的な銀行同盟の設立、さらなる改革機運の維持が緊急に求められていると述べています。 ユーロ圏の銀行を包括的に評価することで、資産の必要性について信頼できる推計値を出し、迅速な資本増強、場合によっては破綻処理をしなければなりません。
過去の取り組みを考えれば、米国とユーロ圏諸国の一部で財政再建のペースが緩やかであることは当然ですが、公的債務が多額で、しかも増え続けている日本では強力な再建策を進めるべきです。
先進国でも新興国でも、雇用を創出し成長を押し上げるために、より一層、意欲的な構造改革プログラムが求められています。
Economic Outlookについて詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。
PC、タブレット端末、スマートフォンなどで全文を読む、または共有する場合には、下記にアクセスしてください:
http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/oecd-economic-outlook-volume-2014-issue-1_eco_outlook-v2014-1-en
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