世界の多文化問題に対する生徒の態度やかかわり方には、大きな男女差がある

 

OECD PISAが初めて行った生徒の他者や文化とのかかわりに関する知識、スキル、態度についての評価報告書によると、世界の学校と教育制度は、世界の多文化の問題に関する知識を学んだり適用したりする機会を、男女に等しく与えられていないことがわかりました。

PISAの新報告書、「生徒は相互につながった世界で成功する準備ができているか(Are Students Ready to Thrive in an Interconnected World?)」は、公衆衛生、経済問題、環境問題を含む地域及び国際的な重要問題に関する生徒の知識と、彼らの異文化に関する知識、技能、態度に焦点を当てています。27か国・地域の生徒がこのテストに参加し、66か国・地域の生徒、教師、親、校長がアンケートに回答しました。*

その結果から、世界的な重要事項を学ぶ機会と、世界と異文化に関するスキルと態度には男女差があることがわかります。OECD諸国平均で、男子生徒の方が女子生徒より、自分の意見を表明したり議論したりすることを期待される活動に参加しているのに対して、女子生徒は男子生徒より異文化に対する理解とコミュニケーションにかかわる活動に参加する傾向がありました。

例えば男子生徒は、世界各国の経済が相互につながっていることを学んだり、インターネットでニュースを検索したり、授業中にニュースを見たりする機会が多い傾向にありました。また、男子生徒のほうが国際的なニュースについての意見を述べたり、世界の出来事について授業中に議論に参加したり、同級生と世界的な問題を分析したりするよう教師から求められる機会が多くありました。

それに対して女子生徒は、学級で同級生との諍いをどう解決するかを学んだり、異なる文化について学習したり、他の文化圏の人々がある問題に対していかに異なる考え方をするかを学んだりする機会が多い傾向がありました。こうした男女間の差には、個人の関心と自己効力感だけでなく、男子生徒と女子生徒が家庭や学校でどのように育てられているかということも反映していると考えられます。

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は次のように述べています。「教育は、若者が今日の複雑さと相互依存が増す世界をうまくわたっていくのを助ける上で重要な役割を果たしている。若者に世界に関する知識、スキル態度を身に着けさせることに最も成功している学校、教育制度とは、開かれた世界を重視し、積極的で包摂的な学習環境を提供し、他の文化圏出身の人々のかかわる機会を与えるものである」

本書の結果から、他の文化に対する理解を学級や授業に取り入れている教師の役割が重要であることがわかります。ほとんどの教師は、多文化の環境で授業を行う自身の能力に自信を持っています。しかし、この分野で適切な職能開発の機会がないことが主な課題です。

多文化または多言語環境で授業を行う、またはその双方の環境ための訓練を受けたことがあると答えた教師はごくわずかでした。

校長が自分の学校の教師は多文化環境に対して前向きであると答えた学校に通う生徒の割合は、90%以上でした。しかし、教師が、例えば移民や他の文化圏出身の人々に対して差別をするところを見ると、生徒も同様の否定的な態度をとりました。このことは、教師や校長がロールモデルとなることで差別に対処したり、または差別を助長したりするため、彼らの役割が重要であることを明らかにしています。

本報告書によると、学校で活動を学んだ生徒と、異文化に対して肯定的な態度をとる生徒との間には、強い関係がありました。また、2か国語以上を話せることも、国際問題への気づき、他の文化についての学習への関心、他の文化圏出身者への敬意、移民への肯定的な態度などの正の関係がありました。

OECD諸国平均で、生徒の50%が学校で2か国語以上学習していると答えており、38%は外国語を1か国語学習しており、学校で外国語を全く学習していない生徒の割合は12%に過ぎません。学校で外国語を全く学習していないと答えた生徒が最も多かったのは(20%以上)、オーストラリア、ブルネイ、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、サウジアラビア、スコットランドでした。それに対して42か国では、90%以上の生徒が学校で少なくとも外国語を1か国語は学習していると答えました。

本報告書は、下記ウェブサイトでご覧いただけます。

http://www.oecd.org/education/pisa-2018-results-volume-vi-d5f68679-en.htm. 

 

報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。

Andreas Schleicher (tel. + 33 1 45 24 93 66) in the OECD’s Education and Skills Directorate

OECD’s Media Division (tel. + 33 1 45 24 97 00).

 

注:

テストへの参加国は下記のとおり:アルバニア、ブルネイ、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、ギリシャ、香港、インドネシア、イスラエル、カザフスタン、韓国、ラトビア、リトアニア、マルタ、モロッコ、パナマ、フィリピン、ロシア、スコットランド(英国)、セルビア、シンガポール、スロバキア、スペイン、台湾、タイ。

生徒の世界の出来事に関する質問票に答えた国・地域は下記のとおり:アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バク(アゼルバイジャン)、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルネイ、ブルガリア、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、キプロス、ドミニカ共和国、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、ヨルダン、カザフスタン、韓国、コソボ、ラトビア、レバノン、リトアニア、マカオ、マレーシア、マルタ、メキシコ、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、北マケドニア、パナマ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、モルドバ、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、スコットランド(英国)、セルビア、シンガポール、スロバキア、スロベニア、スペイン、スイス、台湾、タイ、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、ベトナム。

 

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