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農業部門のグローバル危機に対する耐性は他部門よりも強い

 

農業部門のグローバル危機に対する耐性は他部門よりも強い


2009.6.17

 

食料が生活必需品であることから、農業部門はグローバルな経済危機に対し他の産業よりも強い耐性を示しています。しかし、OECDと国連食糧農業機関(FAO)の新報告書『 Agricultural Outlook 2009-2018』によれば、今後景気低迷がさらに深刻化すればリスク上昇の可能性があります。

 

本報告書によると、景気が2、3年以内に回復に転じるようであれば、農産物の価格、生産、消費の落ち込みは小幅なものになる可能性が高いと見られています。景気低迷は食料の価格を下げたため、景気後退の影響で使えるお金が減った消費者に対する圧力は和らいでいます。

 

食品価格は、2008年初頭にピークを記録してから低下していますが、多くの貧しい国では依然として高い水準にあります。今後十年間にわたって牛肉と豚肉を除く全ての農産物の価格は(インフレ調整後)、2007-08年のピーク前の平均水準までには低下しない可能性が高いと見られます。

 

耕種作物の平均価格は、今後十年間に1997~2006年に比べ実質ベース(インフレ調整後)で10~20%上昇すると予測され、植物油の価格は30%以上上昇する見込みです。今後期待される景気回復、開発途上国での新たな食料需要、新興バイオ燃料市場が、農産物価格および市場を中期的に支える主な要素となっています。

 

報告書は、2008年の価格高騰と同様の過度の価格変動の可能性は今後数年間排除できないと警告しています。その背景には、特に農産物価格が石油やエネルギーのコストと益々連動するようになっていること、環境専門家が異常気象の拡大に警鐘を鳴らしていることがあります。

 

農業生産、消費、貿易は開発途上国で増加するものと見られていますが、食料の安全保障と飢餓は世界の貧しい人々にとって一層深刻な問題となっています。報告書は、長期的な問題は、食料の有無ではなく、食料へのアクセスであり、貧困削減と経済成長の実現によってその大部分は解決できると論じています。また、農業部門の生産性を向上させ、世界市場への統合を促進するような公的および民間投資が行われれば、農業は多くの開発途上国の経済成長に貢献できると指摘しています。

 

また報告書は、政府がより効果的な国際援助に加えて、インフラ投資等のより的を絞った政策を通し、効果的な研究開発システムを構築し、持続可能な土地および水利用のインセンティブを提供することで、国内の農業開発を支援することができると指摘しています。さらに、農業市場の開放を進め、貧しい地方での農業を越えて経済発展を広げる必要性を強調しています。

 

本報告書の入手をご希望の記者の方は、OECDメディア課までお申し込み下さい。担当:Sara Sreberny-Mohammadi (sara.sreberny-mohammadi@oecd.org  ; Tel. +331 4524 9700).

本報告書の詳細についてはwww.agri-outlook.org、OECDの農業に関する活動についてはwww.oecd.org/agr でご覧下さい。

 

本報告書について取材をご希望の記者の方は、FAO メディア・リレーションズ・オフィスまでご連絡下さい。担当:Erwin Northoff  (Erwin.Northoff@fao.org;  Tel.+39 06 570 53625 )

 

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