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Tax policy analysis

パンデミックの影響余波が観光に響き、アジア太平洋地域の税収回復ペースに遅れ

 

2023年7月25日–本日発表された新しいOECD報告書によると、2021年のアジア太平洋地域の大部分の国で、税収対GDP比が新型コロナウイルスのパンデミック以前の水準を依然下回っていることが明らかになりました。

パンデミック2年目にあたる2021年の歳入データをまとめた2023年版『アジア太平洋諸国の歳入統計』は、データが入手可能なアジア太平洋地域27カ国のうち、19カ国で税収対GDP比が上昇したことを示しています。しかし、27カ国のうち、税収対GDP比がパンデミック前の水準まで完全に回復した国はわずか11カ国にとどまりました。

2021年に税収対GDP比が上昇した国では、国際貿易の回復や、コモディティ価格の上昇によって(特に中央アジア)、また、一部の国では渡航制限の段階的緩和などによって税収が増加しました。税収対GDP比が低下した国では、特に太平洋島嶼国では観光への影響を通じて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが税収にとって重石となっています。

この報告書によれば、2021年のアジア太平洋地域の平均的な税収対GDP比の回復ペースは他の地域を下回りました。アジア太平洋地域の税収対GDP比平均値は、2020年に0.9pp(%ポイント)低下した後、2021年には0.2pp上昇して19.8%となりました。OECD諸国全体の2021年税収対GDP比平均値は0.6pp上昇して34.1%、中南米およびカリブ海諸国の平均は、0.8pp上昇して21.7%でした。

2021年のアジア太平洋地域全体の税収対GDP比は、ラオス人民民主共和国の9.7%からナウルの36.6%まで幅がありました。2020年から2021年にかけて、税収対GDP比は7カ国で少なくとも1pp上昇したものの、5カ国では1pp以上低下しました。(図表1)。

新たな報告書によると、2021年にはアジア太平洋地域全体で税外収入がさらに減少しました。2021年にはデータが利用可能な19カ国のうち11カ国で税外収入が減少しました。2020年には13カ国で税外収入が減少していました。2021年の税外収入対GDP比は、カザフスタンの1.5%からトケラウの201.3%までの範囲で、トケラウでは外国船から受け取る入漁料が高レベルとなっています。

今回の『アジア太平洋諸国の歳入統計』 第10版ではこの地域の30カ国の税収に関する統一データが提供され、今回初めてアルメニアとジョージアのデータも含まれています。この報告書は、アジア開発銀行、太平洋島嶼国税務行政協会、太平洋共同体の協力と、アイルランド、日本、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、 スペイン、スウェーデン、スイス、英国各国政府の支援を受けて、OECD租税政策・税務行政センターとOECD開発センターが共同で作成しました。

本報告書、収録データ、概要、国別レポートは、下記ウェブサイトからアクセスできます。https://oe.cd/revstatsap  

報道関係者のお問い合わせはAlexander Pick(Alexander.Pick@oecd.org、電話:+33 (0)1 45 24 87 27)またはBochra Kriout(Bochra.Kriout@oecd.org、電話:+33 (0)1 45 24 82 96)までご連絡ください。

 

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