2014年10月31日, パリ
新しいOECD報告書によると、アジア太平洋地域では、教育アクセスの拡大が労働市場における男女間の格差を狭めることに貢献しているものの、依然として多くの課題が残っています。「OECD図表で見る社会:アジア太平洋2014年版」によると、同域内では女性の教育レベル向上も経済成長の重要な要素となってきたにも関わらず、依然として女性は男性に比べて給与も低く、保障も低い職に就き、キャリアを築く確率も低く、家事などの給与のない仕事につく傾向が高いことがわかりました。
域内で差はあるものの、例えば日本や韓国、シンガポールといったOECDのPISA 調査でトップクラスの成績を収めている国においても、依然として幼少期からジェンダーに対する偏見を感じる生活をしているため、それも原因となり科学やエンジニアリングといった理系専攻を選択する女性は男性と比べ低いままです。
このような傾向は雇用にも反映されており、起業、就業率、給与、パートタイム就労率、の分野で男女格差が色濃く見られます。現状を打開するためにも、OECDは各国政府が機会均等のロールモデルの役割を担うべきと述べています。域内には2005年から2012年の間に国会議員に占める女性の割合が急増した国もあります。
国会議員に占める女性の割合 (2005年と2012年の比較)
> クリックしてデータをダウンロード
人口課題
2014年には、日本における労働人口に対する非労働人口の割合が77%に達し、超高齢化社会という現実が突きつけられました(100名の労働人口に対して77名の非労働人口)。少子化と寿命上昇により、中国及び韓国を含む他のアジア太平洋の国々も、2050年までに日本と同じレベルの課題を抱えることが示されています。これにより、労働力供給や介護の問題も更に重要になってきます。日本と韓国は移民の受け入れ枠が小さいこともあり、課題を乗り越えるには今まで使われなかった人材(つまり女性)が積極的に労働参加できるような構造改革が進められるべきです。産休、育児休暇、育児支援も重要ですが、男女が家事を分担できるような雇用環境を目指さなければ変化はもたらされません。
2012~2040年の労働力見通し
労働市場にいる15-64歳の推移(単位:1000)
> クリックしてデータをダウンロード
社会保障
本報告書によると、過去20年間で世界的に社会保障が、より平等に享受される傾向になってきました。1990年には、世界の社会保障の80%が世界人口20%で享受されていたのに対し、20年経った2010年には世界人口の40%が享受できるまで拡大しています。さらにアジアの占める割合は2.7%から9.6%に増加しています。特にアジア太平洋地域では、主に金融危機からの影響で公的社会支出が増加しており、日本は2010年にはGDPの22%以上の公的社会支出があり、データ採取可能な国の中ではトップとなっています。
公的社会支出(GDPに占める割合)
> クリックしてデータをダウンロード
図表で見る社会:アジア太平洋2014年版は、同シリーズの3部目であり、様々な社会問題に関して35の経済からのデータに基づいています。本年度版は、ジェンダーに関する特集章を設けているほか、自給率、公平性、健康、社会一体性に関する指標を集めた章も含まれています。
本レポートの詳細は、www.oecd.org/social/society-at-a-glance-asia-pacific-24089168.htm をご覧ください。
報道関係者のご質問は、OECDパリ本部OECD Media Division (tel +33 145 24 9700) 、または、OECD東京センター (+81 3 5532 0021, naoko.kawaguchi@oecd.org ) までお願いいたします。
Follow us
E-mail Alerts Blogs