2015年6月3日
によると世界の主要国で経済活動がより均等に広がり、対外不均衡が全体的に2007年以前ほど顕著ではないため、世界経済は徐々に成長が強まり、2016年後半までに経済危機以前の趨勢成長率に達します。
労働市場は先進諸国では次第に回復しており、デフレのリスクも減少しています。
しかし、現在の世界経済が“B-”レベルであることによって混乱しているという特徴が見られます。2015年第1四半期の世界全体の経済の伸びは、経済危機以降のいずれの四半期と比べても弱くなりました。しかも、この弱さが一時的なものと見られていますが、企業投資が不十分で新技術の普及が弱められていることを反映して、生産性の伸びも期待を裏切る状態が続いています。
多くの国々における投資の弱まりは、消費の増加、雇用創出、賃金上昇を妨げており、持続可能な成長の長期的な見通しに影を落としています。
「世界経済は強まると予測されているが、回復のペースは未だに鈍く、投資も上向いていない」と、アンヘル・グリアOECD事務総長は述べています。「強く持続可能な成長に向けて始動できなければ、先進諸国では雇用の喪失、生活水準の低迷という実質的な負担になり、新興諸国でも経済発展の活力が失われ、またどの国でも格差が広がる。」
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エコノミック・アウトルックでは、経済をより高い成長軌道に押し上げるには、設備投資を増やす必要があると述べています。政策当局には、投資を持続的な成長に移行させる際に、低賃金労働者への配慮と、教育格差の高まりによる悪影響に対処することが求められています。教育格差は、長期的視点から見て、成長を蝕む主要因となります。
OECDでは、世界の経済成長率は2015年には3.1%で、2016年には3.8%に上昇するとみています。これは、2014年11月に発表されたエコノミック・アウトルックの予測で示された3.6%(2015年)と3.9%(2016年)から下方修正されていますが、その主な原因は2015年第1四半期に見られた予想外の弱まりにあります。世界経済は、2015年から2016年にかけて、原油安、各国に広がる金融緩和、主要国における財政再建策の緩和などを受けて、景気が上向くと見込まれています。
米国のGDP成長率は、今回のエコノミック・アウトルックで2015年は2.0%、2016年は2.8%と予測されていますが、これは2014年11月に発表された2015年の3.1%、2016年の3.0%から下方修正されています。ドル高と天候不順が2015年前半の経済を圧迫しましたが、失業率は下がり続けています。景気を支える金融政策と低い原油価格によって、需要を引き続き押し上げる必要があります。
ユーロ圏では、2015年は1.4%、2016年は2.1%に増加すると見込まれていますが、これは2014年11月に発表された値(2015年は1.1%、2016年は1.7%)より上方修正されています。これはECBによる予想を上回る大胆な金融緩和と、大幅なユーロ安が重なった結果で、財政緊縮策の緩和と原油価格の下落という需要へのプラスの効果を強化するべきです。
日本の成長率は、2015年は0.7%、2016年は1.4%と予測されています(2014年11月のアウトルックではそれぞれ0.8%、1.0%)。原油安、円安を反映した輸出の増加、実質賃金の上昇が、この経済回復を牽引する主な要因となっています。
中国の2015年のGDP成長率は、前回予測の7.1%から6.8%、2016年は6.9%から6.7%に下方修正されました。この景気減速は、サービス業が成長の主な牽引役として製造業と不動産投資に取って代わるという、中国経済で進む構造改革を反映しています。
インドの成長率は引き続き強く安定した状態が2015年(7.3%)、2016年(7.4%)も続くと見込まれています。ロシアとブラジルは現在の景気低迷から、2016年には低いながらもプラス成長に転じると予測されています。
OECDチーフエコノミストのキャサリン・マンは、「レベルを“B-”から“A”に移行するためには、雇用を創出し消費を刺激するために、投資を促進する必要を示している。適切な需要増をもたらし政策の不確実性を減らす金融財政の統合政策の一部として、構造政策を導入して生産性を高め、競争市場を奨励することである。」とは述べました。
エコノミック・アウトルックについて詳しい情報は、以下のウェブサイトをご参照ください。
ジャーナリストのお問合せ先:OECD Media Division (tel: +33 1 4524 97 00 / news.contact@oecd.org)、または東京センター報道広報官の川口(naoko.kawaguchi@oecd.org)までご連絡ください。
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