2014年12月1日
金融危機の影響で減少していた移民の動きが回復し、EU内では多くの人が移動し、OECD加盟国での移民登録が増加しています。OECD各国への高度スキルを持った移民の移動のほか人道的背景の移民も増加しています。OECDの最新報告書によると、このように移民の数・背景が変化する中で各国は移民政策を順次適応させる必要があります。
国際移民アウトルック2014年版によると、OECD諸国への永住型移民フローは回復し始めており、新規の永住型移民は2012 年0.8%に下落した後、2013年には1.1%に微増しました。今日、OECDの移民は1億1500万人を超え、総人口の約10%を占めています。新規移民の10人に1人が中国からで、5人に1人がアジアからです。アンヘル・グリアOECD事務総長は、ディミトリオス・アヴラモプロ(欧州委員会、移民・内務・市民権担当委員)及び クリス・アレクサンダー(カナダ市民権・移民大臣)と共にパリで本報告書を発表し、「移民を問題でなく人材として捉え、統合政策を投資と考えれば、各国にとって利益と転じる。OECD諸国にとって、移民政策は優先事項であるべきで、統合政策は、成長、社会一体性、より良い社会のための最善の投資と見られるべきである。このようにめまぐるしく変化するニーズの中で何も対応しなければ短期的・長期的コストは高い。政策決定者は、信頼構築を目指した開かれた議論を先導し、皆の利益を確保することが必要である」と述べました。
2013年、ドイツへの移民は倍増し、45万人を超えました。これで4年連続の増加となります。ドイツへの移民の4分の3は他のEU諸国から来ており、OECD内では米国に次ぎ第二の移民の行き先国となっています。
対照的に、米国、イタリア、ポルトガル、スペイン等いくつかの主要移民受け入れ国では、移民の減少が見られました。移民総数は、依然として金融危機前のレベルと比べはるかに低いですが、ほとんどのOECD諸国では増加しています(メキシコ、アイスランド、アイルランド、スペイン、ポルトガル除く)。
労働移民は、景気が下降局面に入って以降、減少の一途を辿っており、2012 年には約12%減少しました。これは欧州経済領域(EEA)で特に顕著であり、労働移民は2007年から2012年までで約40%減少しました。
2013 年のOECD内の庇護申請件数 は、特にシリア紛争の影響により2012 年に比べ20%増加し、55万人を超えました。本報告書によると、中東各国からの庇護申請者の人道的問題に対応するには国際協調が鍵となります。
高学歴移民は過去10年で70%増加し、3100万人を超えましたが、同様に高学歴の自国出生者と比較して就職率は低く、学歴過剰労働者の割合は50%高い状態です。総じて金融危機の打撃は、移民のほうがより大きなものとなりました。金融危機後に発生した1500万人の失業者のうち5分の1が移民です。
2012年、15歳人口のうち12.5%が両親とも外国生であり、10年前と比べて50%増加しています。彼ら(特に両親の教育レベルが乏しい者)の社会への統合が一層問題化していると本報告書は指摘しています。
12月1-2日、移民政策を担当するOECD閣僚は、「移民に関するOECDハイレベル政策フォーラム」に出席し、移民の能力を最大限に活かし、かつ出生国と移民先国両方にとって社会経済的利益となる政策を議論します。OECDによると、移民とうまく付き合うためには、目標を透明性をもって管理し、よいツールを使い目標達成することこそが、クォーター制度や公的支出目標を設定するよりも重要となります。
報道関係者のご質問は、OECDパリ本部雇用労働社会政策局の移民課長 Jean-Christophe Dumont (tel. 33 1 45 24 92 43) 、または、OECD東京センター川口(03-5532-0021、naoko.kawaguchi@oecd.org )までご連絡ください。
国際移民アウトルック2014年版の詳細情報は、www.oecd.org/migration/imo をご覧ください。
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