2016年4月27日
英国のEU離脱は信用を損ない不透明感を高め、結果として2020年までにGDPが3%も下がることになるでしょう。これは一世帯当たり2,200ポンドの負担に等しいものです。OECDは、このようなコストはすでに累積されつつあると、本日発表した新報告書で述べています。
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生活水準に及ぶと予測される打撃は、家計への「EU離脱税」ともいうべき恒常的な税を課すのと同じだとOECDは述べています。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで行われた講演で、アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べました。「EU離脱は次の世代にEU離脱税を課すのと同じことになる。この税は公共サービスへの支出と異なり、何の経済的恩恵もない単なる死重的損失になってしまうだろう。」
EUを離脱すると、英国は単一市場への無制限のアクセスができなくなります。また、たとえ欧州と新たな貿易協定交渉に成功したとしても、EU離脱のせいで多くの第三国市場でも優先的なアクセスが失われ、新たな障壁に直面することになります。重大なリスクの1つは、資本の流入が疎外され、対GDP比7%という記録的に高い経常赤字の拡大につながることです。
OECDの研究によると、英国がEU離脱を決めると、経済に深刻な負の衝撃をもたらし、何年もの間GDPの伸びが弱くあり、現在価格で2030年までに一世帯当たり年間3,200ポンドのコスト、最悪のシナリオでは5,000ポンドを課すのと等しくなります。
EUの域外になることで、さらに貿易、海外直接投資、生産性にも打撃になります。
EU離脱によって技術的進歩、移民、資本が長期にわたって弱まるとういことは、楽観的シナリオ、中間シナリオ、悲観的シナリオという3つのシナリオで予測されています。楽観的シナリオでは、GDPに及ぼされるマイナス影響は2030年には約2.7%ですが、悲観的シナリオでは7.5%を超えます。中間シナリオでもは、英国のGDPは、EUから離脱しなかった場合を5%以上も下回ると予測されています。このGDPの不足分は、一世帯当たり3,200ポンドに相当します。
EU予算への純移転は今後数年間は対GDP比で年0.3~0.4%程度と比較的少額で、これらの移転分を節減してもGDPの伸びが鈍化することで財政状態が悪化する影響を相殺することはできません。2019年までに財政赤字の対GDP比は0.9パーセント・ポイント高くなると予測されています。
さらにこの研究は、このEU離脱のコスト予測には、英国がEUに残留した場合に、EUの単一市場の更なる発展によって貿易と海外直接投資が刺激されて高まるGDPの追加的な伸びが考慮されていないと指摘しています。
「The Economic Consequences of Brexit: A Taxing Decision」について、詳しくはこちらをご覧ください。
報告書全文はこちらからご覧いただけます。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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