2017年6月1日
グローバル化に対する逆風に、早急な取り組みが求められています。開放経済、デジタル経済の恩恵をより広く共有し、あらゆる市民が成功できるようにするために、長年の懸案となっている抜本的な政策変革が必要です。これは、2017年6月7~8日にパリで開催されるOECD閣僚理事会に先駆けて、本日発表されたKey Issues Paperの主なメッセージです。
この報告書は、閣僚による議論に情報を提供するもので、グローバル化と技術革新のプロセスがいかに何百万という人々を貧困から脱却させ、我々の社会に斬新な進歩をもたらしたかを要約しています。しかし、この報告書はその欠点も認め、社会の相当部分の生活が苦しくなっていること、多くの人々が取り残されたように感じていること、多数の人々がその制度は不正で力のある人々を優遇していると思っているといった、現在の不満を明らかにしています。OECD諸国の中には、実質所得の中央値が過去20年以上にわたって低迷しているところもあります。今では、人口の最も裕福な10%は、最も貧しい10%の10倍以上を稼いでいます(1980年の7倍から上昇)。そして、富の集中はさらに進んでいます。OECD諸国の最も裕福な世帯1%が、全世帯の富の約18%を所有しており、下位の60%が所有しているのはわずか13%です。
本報告書は、グローバル化がこれら全ての問題に責任を負っているわけではないと述べていますが、グローバル化がこれらの問題に寄与し、多くの国々の経済的、社会的不満を生み出してきた特定のメカニズムを明らかにしています。具体的には、景気の低迷から生活水準の低下、国民所得に占める労働分配率の下落、税制の累進制の喪失が地域の破壊や不平等をもたらすこと、いくつかの産業部門における一流企業の独占状態、そして経済の金融資本主義化の加速などがあります。
開放経済から撤退することでもたらされる損害のリスクを警告するために、OECDの報告書は近年OECDが包摂的、持続可能な成長を促進し、人々の暮らし良さを最優先し、尺度とモデルを改良して集計値を超えて分配の影響を考慮するために行ってきた研究を引用しています。
本書の提言は以下の通りです。
・ 「まずは成長、後から分配」という考え方から、成長と包摂性を並行して推進する政策枠組みに置き換える。変化に対応できるよう市民の能力を支え、グローバル化、デジタル化した世界で成功できるようにする取り組みを増やすとともに、社会保障制度を現状に適合させ、改善する。
・「力を与える国家」への移行。創造的な解決策で、質の高い医療と教育の利用しやすさ、より積極的な労働市場・技能政策、累進課税制度と中小起業戦略、技術の普及と移民の社会統合の強化を確実にする。
・ 再配分策だけでなく地域発展政策に注力し、優位性を強化することで、「不満の地理的分布」に取り組む。
・ 国際レベルでは、グローバル化のガバナンスを経済活動のグローバル化の効果に「追いつかせる」ようにする。本報告書は、あらゆる人々に恩恵がもたらされる透明かつ包摂的な、ルールに基づいたグローバル化を推し進めるための、多角的協力を誓っている。この点で、平等な競争条件を設定し、ゲームのルールを決め、様々な政策分野における最良慣行を推進するための、確たる強制力を持った国際標準を推奨している。また、より良いガバナンスメカニズムと国際協力メカニズムを呼びかけている。
OECD閣僚理事会は、OECDフォーラム(6月6~7日)と同時開催されます。2017年のテーマは、「分裂を超えて(Bridging Divides)」です。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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