2015年6月24日
OECDの最新レポートによると、現在の低金利環境は、年金基金や生命保険会社の長期的な財政的実効性に大きなリスクをもたらします。なぜなら、これらの機関は約束に見合った十分なリターンを求めるからです。
今回が創刊となる「OECD企業・金融アウトルック」は、年金基金と生命保険会社は、金利が高かった時に保険契約者や信託受益者に対して約束したレベルのリターンを守るために「利回り追求」にのめり込む可能性があるということを主な懸念としてあげています。これが支払い不能を含めたリスクにつながります。
アンヘル・グリアOECD事務総長は本レポートをパリにて発表し、「人口高齢化の課題に対応できるようなリソースを集めるには、最も生産的な投資に対してリソースを充てるような、そして過剰なリスクテーキングを伴わないような、最善のグローバル・アロケーションが求められる。特に、ショックを吸収できるよう、そしてバブル崩壊を回避できるよう、金融システムを強化するためにすべきことはたくさん残っている。」と述べました。
また、本レポートは、短期的リターンを活性化させるために会社が株主に対して配当や買戻しを通じてキャッシュリターンをしているという現在の傾向は非常に危険であると指摘しています。なぜなら資本がより生産的な活動に再投資されないことになるからです。これにより、創造的な投資や生産性向上が阻害されます。
今後5年の間に、年金基金は2014年の28.4兆USドル(推計)から2019年には35.8兆USドルにまで26%増加することが予測されます。保険会社のアセットは2014年の28.2兆USドルから2019年の37.7兆USドルにまで33%の増加が、ミューチュアル・ファンドは2014年の33.4兆USドルから2019年の46.1兆USドルまで38%増加することが予測されます。
本レポートは、シャドーバンキングの増加や金融危機後の金融セクター改革の影響などに関しても分析をしています。また、現在見られるようなリスクが割安に触れすぎていることを無くし、将来のショックを吸収できるようなシステム強化に努める余地はあるとも指摘しています。そのためには、強固な資本ベースの確保や金融セクター企業が相互関連を弱めるように、例えばシャドーバンキングからより伝統的な預金銀行から離し、クリティカルなレバレッジを制限する政策を実施することが求められます。
報道関係者のお問い合わせは、OECDメディア課(tel. + 33 1 45 24 97 00)までお寄せください。
本レポートの詳細は、: www.oecd.org/daf/oecd-business-finance-outlook.htm をご覧ください。
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