OECDによると、新興経済と世界貿易の減速が世界経済見通しを曇らせている

 

2015年11月9日

 

OECDによると、新興経済と世界貿易の更なる急減速により、今年の世界経済成長率は約2.9%に弱まり(長期的見通し平均をはるかに下回る数字)、短期的見通しを不安定にさせる要因となっています。

OECDは、年2度発表するエコノミック・アウトルックの最新版で、世界経済成長率が、2016年の3.3%から2017年の3.6%まで徐々に強まっていくことを予測しました。しかし、経済活動の明らかなピックアップのためには、中国の経済活動がスムーズにリバランスされ、先進国経済における投資がより一層活性化させることが必要です。

新興経済の課題、脆弱な貿易と潜在経済成長に対する不安を考えると、6月発表のOECDアウトルックと比べて、下ぶれリスクや脆弱性の高まりが考えられます。

本アウトルックをパリで発表したアンヘル・グリアOECD事務総長は、「世界貿易の減速や継続する投資の弱まりは不安を深刻化させている。貿易や投資の活性化と世界経済成長の強化は共に進められるべきである。アンタラでのG20では、強固で持続可能かつバランスの取れた成長を確保するための取り組みを一新させなければならない。」と述べました。

アメリカでは、家計需要に後押しされ、経済成長は引き続き堅実な上昇軌道を辿り、GDPは2016年には2.5%、2017年には2.4%が予測されています。

ユーロ圏は、緩和的な金融政策、石油価格の下落、財政緊縮のペース緩和等に支えられて、回復が強まる予測です。ユーロ圏は、2016年には1.8%、2017年には1.9%の成長が予測されます。

日本の経済回復は、2015年には、他のアジア経済からの需要が急減速したことや停滞する消費などが原因となり、脱線しました。日本のGDP成長率は、2016年には1.0%に加速することが予測されますが、2017年には予定されている消費税引き上げの影響から0.5%に減速することが予測されます。

中国の経済成長は、2015年には6.8%への減速が予測されており、その後も徐々に減速し、経済活動が消費やサービスに向けてリバランスされるため、2017年には6.2%まで下がるでしょう。GDP成長率の急減速を避けつつ財政安定リスクを抑えつつリバランスを達成するというのは、非常に難しい課題です。

他の新興経済では、向かい風は概ね強まり、その影響で、商品価格の下落、信用状況の引き締め、潜在成長の下落につながり、資本流出や通貨価値の急速な下落が財政の脆弱性をさらすリスクにつながるかもしれません。

ブラジルとロシアは景気後退の最中であり、2017年までは年ベースでプラス成長に戻りません。その一方で、インドの成長見通しは引き続き比較的活発で、構造改革の実施において更なる進展が見られた場合、今後数年はGDP成長率が7%を超え続けることが予測されます。

本アウトルックは、OECD及びG20諸国に対して、潜在成長を加速させて経済収益が国民全体に満遍なく共有されるようにするためにも、需要下支えや構造改革の推進に向けた更なる野心的な取り組みを呼びかけています。

特に、短期的な需要を支える政策を呼びかけており、例えば、国の政策余地を見つつ引き続き財政金融政策支援を行っていくことがあげられます。公的投資を増大させるための共同行動は必須であり、対GDP債務率を増やすことなく経済成長を遂げることができます。

パリで開催されるCOP21を控え、今回のエコノミック・アウトルックは、特別章を設け、長期的な経済の持続性や健全な成長にとって重要である気候変動に対する明確な対応を呼びかけています。

ほとんどの気候変動対策政策は、予算もかからず成長を支えます。ネガティブな結果無しに対応策を成功させた国の事例は多く存在します。効果的な政策スタンスを提示することで、投資にとってもよりポジティブな環境を作ることとなり、成長や貿易を下支えできます。それだけでなく、勿論、気候改善という喫緊の課題に向けた道筋になります。

本エコノミック・アウトルックは、欧州における難民問題が労働市場や財政にもたらした影響にも焦点を当てています。

また、本アウトルックは、中国における需要の弱まりが世界にもたらす影響の予測も含んでおり、そのほかにも、アメリカの政策金利上昇が新興経済にもたらす波及効果、ユーロ圏や日本における成長の減速、潜在成長の見直し、OECD経済における公的投資増加の影響、なども含んでいます。

最新のOECD景気先行指数も。

エコノミックアウトルックに関する詳細情報は、こちらのリンクからご覧いただけます。 http://www.oecd.org/economy/economicoutlook.htm

本エコノミック・アウトルックに関する日本語資料につきましては内閣府のサイトもご参照下さい。(第1章の導入部分及び第3章の各国の冒頭部分のみとなります。)

 

報道関係者のお問い合わせや専門家へのインタビュー依頼は、OECDパリ本部メディア課(tel: +33 1 4524 9700)、または、OECD東京センター(naoko.kawaguchi@oecd.org 03-5532-0021)までご連絡ください。

 

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