OECD-パリ、2019年11月14日
OECDの新報告書、「図表で見る世界の行政改革 2019(Government at a Glance 2019)」によると、政府をより開かれた、説明責任のある、積極的に関与するものにすることを目指す公共部門改革が成果を上げるようになったことで、政府への信頼度は金融危機以前の水準まで回復し、公的サービスへの満足度も改善しました。
本報告書はOECDの公的ガバナンスに関するシリーズの第6版で、公的支出、投資、公共調達、公務員の雇用、政府の公開制といった分野における60の指標でOECD諸国とパートナー諸国の国際比較を行っています。本書には、医療、教育、司法の各サービスについての市民調査の得点表と結果、38カ国の国別ファクトシートも収録しています。
主な結論
- OECD諸国全体で、政府支出は2007年は対GDP比39%でしたが、2017年には40%に漸増した。社会保障と医療への政府支出は2017年はOECD諸国全体で対GDP比21.1%で、2007年の18.6%から上昇したが、その原因の一端は人口高齢化にある。
- 公共投資は2017年は対GDP比で平均3.1%で、2007年の3.6%より下落した。この値が最も大きかったのはエストニアとノルウェー(両国とも5.3%)で、最も低かったのはイスラエル(1.4%)である。
- 2017年の平均政府債務総額は対GDP比110%で、それが政府の経済的ショックへの対応力を制約している。財政赤字の平均値は、依然として金融危機前の水準である対GDP比1.7%には及ばないものの、2017年はGDPの2.2%と、2009年以降着実に改善している。
- OECD諸国全体で、一般政府の雇用は2007年と変わらず雇用全体の約18%を占めている。男女差は依然として大きく、高等裁判所判事、下院または一院制議会の議席、閣僚の3分の2以上を男性が占めている。
- ギャラップ世論調査によると、政府への人々の信頼度はOECD諸国全体で2013年は37%でしたが、2018年は45%に上昇しており、2007年の危機以前の水準に達している。信頼度は国によって大幅に差があり、スイスとルクセンブルクでは70%を超えたが、ギリシャとラトビアでは20%を下回った。
- こちらもギャラップ世論調査によると、医療と教育に対する満足度と司法制度への信頼のOECD諸国平均は、過去10年間にわずかに上昇した。2018年にはOECD諸国市民の70%が医療制度の利用可能性に満足(2007年と同水準)、66%が教育制度と学校に満足(2007年より2ポイント上昇)、56%が司法制度を信頼(2007年より4ポイント上昇)していると回答している。
- OECD諸国では、市民を公的ガバナンスに組み込むようになってきた。法案と規制案に関する利害関係者との協議は今では標準的な慣行になっているが、作業過程のかなり後半で行われることが多い。
- 特定の社会環境目標の推進に的を絞った予算決定と調達慣行を取り入れるOECD加盟国が増えている。2018年には、全てのOECD加盟国が公共調達(2017年には平均で対GDP比11.8%を占めた)に環境に配慮した戦略を導入ており、17カ国は男女平等対策のための予算を編成した。
- 2017年の「OURdata (Open, Useful and Re-usable)インデックス」(政府のデータ公開に関する方針やその実施基準を定めた指数)は、2017年の0.53から、2019年は0.60に上昇した。この上昇には、各国が公的機関のデータを無料かつ利用しやすい形で一般公開するという点で大きな進歩を見せていることが反映されており、市民とのつながりを再生させ政府をより開かれた、説明責任のある、積極的に関与するものにすることを目指して実施されている公共部門改革の前向きな前兆の一つである。
本報告書全文と38か国の国別ファクトシートは、こちらからダウンロードできます。
http://www.oecd.org/governance/government-at-a-glance-22214399.htm.
本報告書のサマリーはこちらでお読みいただけます。
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