スピードが急務:ワクチンの世界的な展開を急ぐことが復興の強化に不可欠

 

2021年3月9日 - OECDの最新のエコノミック・アウトルック中間報告によると、世界的な経済復興が視野に入っていますが、ワクチンを世界的にもっと迅速かつ効果的に展開することが、必要とされる健康措置、ソーシャルディスタンシング措置の尊重と併せて不可欠です。

ここ数か月で、多くの産業部門の活動が上向きパンデミックの規制に適応しつつあります。ワクチンが、不均等ではありますがようやく普及し始め、政府の財政刺激策、特に米国のそれが経済活動の主要な牽引役になると見られています。

しかし、パンデミックにより各国間、産業部門間の経済実績の格差が拡大し、社会的不平等が高まって特に社会的弱者に影響を及ぼし、多くの人々の雇用見通しと生活水準が長期的に悪化する恐れがあります。

エコノミック・アウトルック中間報告では、ワクチン接種を増やして生産と景況感を促進し、パンデミックの打撃が深刻な人々と企業に所得支援を続けるための迅速で的を絞った財政刺激策を実施するとともに、持続可能な復興の素地を作るよう呼びかけています。

アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べています。「スピードが重要である。自己満足している余裕はない。ワクチンの普及を早急に世界全体に展開しなければならない。そのためには、国際協力と協調をかつてないほど改善する必要がある。そうすることによってのみ、より良い復興を実現し、あらゆる人々に繁栄をもたらし持続的な復興のための基礎を築くことに注力できる」

OECDによると、世界全体のGDP成長率は今年は5.6%で、2020年12月の推定値より1ポイント上方修正されました。また、2022年の成長率は4%になると見られています。世界の生産高は、2021年半ばにはパンデミック以前の水準に回復すると推定されていますが、復興のペースと期間は、ワクチンとウイルスの変異株出現との競争の行方に大幅に左右されることになります。

 

 

しかし、ワクチンの普及が感染率を抑えられるほど早くなく、または新たな変異株がもっと広がって現在のワクチンを改良しなければならなくなると、消費者支出と企業の景況感が悪化することになります。世界の成長見通しは、ワクチンの製造と普及が加速し、世界的に調整され、ウイルスの変異に先んじることができれば、現在の見通しより改善し、パンデミック以前の産業活動に関する予測に近づくでしょう。そうすれば、封じ込め措置をもっと早期に緩和することができます。

OECDの中心的シナリオでは、米国の成長率は2021年は6.5%(12月の推定値より3ポイント上方修正)になると予測されていますが、それは持続的なワクチン普及のペースと並行して計画されている大規模な財政刺激策を部分的に反映しています。それは、世界的な生産高の底上げにも寄与します。ユーロ圏では、財政刺激策のレベルはそれほど高くなくワクチンの普及ペースも遅いため、本アウトルックではGDP成長率は3.9%(0.3ポイント上方修正)になると推定しています。

経済見通しはアジア太平洋地域の方が明るく、いくつかの国々ではすでにウイルスの抑え込みに成功し、産業活動が活力を取り戻しています。今年のGDP成長率は、中国では7.8%、日本は2.7%、韓国は3.3%、オーストラリアは4.5%になると推定されています。

 

 

復興のペースがもっと緩やかなのは、南米とアフリカの新興市場諸国です。これらの国々では、ウイルスが再び広がり、ワクチンの普及ペースが鈍く、追加的な政策支援が限られています。

ローレンス・ボーンOECDチーフエコノミストは、本日の中間報告発表会見で、ワクチン普及プログラムと景気刺激策は一体として機能すべきだと述べました。

「成人のワクチン接種が広がることが、経済と雇用の成長を回復するために今日採用できる最良の経済政策である。ウイルスと闘うには、ワクチンの製造を戦時体制で行い、必要な資源を提供し、世界的な普及を加速させる必要がある」

ボーン氏は次のようにも述べています。「もし、規制措置を緩和させられるほど多くの人々に迅速にワクチンを接種させることができなければ、復興は遅れ、財政刺激策の恩恵が損なわれることになる」

世界的な復興の見通しが改善すると金融市場のインフレへの期待が高まりますが、本アウトルックは、内在する物価への影響が先進国では総じて引き続き弱いと述べています。新興市場諸国ではインフレ率がさらに高まる可能性があります。世界中ほぼすべての国々で公的債務の規模は急速に大きくなっていますが、ほとんどのOECD諸国で国債費は引き続き超低金利の恩恵を受けて財政の持続可能性が保たれています。

本アウトルックでは、政府が雇用と企業を保護するために提供している極めて重要な支援は引き続き実施すべきだと述べていますが、経済は依然として脆弱で、感染防止措置に阻まれています。特に注意が必要なのは、若者と低技能の労働者への支援で、2008年の金融危機後のようにこうした社会的弱者の雇用見通しが再び長期的に損なわれることがないようにしなければなりません。

 

Economic Outlookの詳細はこちらのサイトをご覧ください。ワクチンに関する情報は、こちらの「ワクチン競争」のサイトをご覧ください。

その他のパンデミックに対するOECDの政策対応については、新型コロナ情報(COVID-19 Hub)サイトをご覧ください。

 

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