2021年7月21日―2019年には、新型コロナウイルスのパンデミック以前の経済の低迷の結果、アジア太平洋地域の3分の2の国・地域で税収が減少しました。
本日、新型コロナウイルスのパンデミックに対する租税政策対応に関するアジア太平洋経済協力(APEC)作業部会で、OECDの新報告書、「アジア太平洋諸国の歳入統計2021年版(Revenue Statistics in Asia and the Pacific 2021)」が発表されます。本報告書で取り上げているアジア太平洋地域24か国・地域の平均税収の対GDP比は、2019年は21.0%でした。これは、南米・カリブ諸国の同年の平均税収の対GDP比(22.9%) とOECD諸国のそれ(33.8%) を下回っていますが、アフリカの2018年の平均(16.6%)を上回っています。
2019年のアジア太平洋地域の税収の対GDP比は、ブータンの10.3%からナウルの48.2%まで幅がありました。本報告書に掲載のアジア諸国14か国・地域のほとんどの国々の税収の対GDP比は、アジア太平洋24か国・地域の平均である21.0%を下回っていました(日本、韓国、モンゴル、中国を除く)。それに対して、10の太平洋諸国のうち6の国・地域で、税収の対GDP比は21.0%を上回っていました(パプアニューギニア、バヌアツ、トケラウ、ソロモン諸島を除く)。
税収の対GDP比が前年を下回ったアジア太平洋の15か国・地域のうち、中国(社会保険料を除く)、フィジー、サモア、ブータン、クック諸島、ソロモン諸島の6か国で1ポイント以上下落しました。ブータンとクック諸島では税収の対GDP比がそれぞれ2.3ポイント、3.0ポイント下落しましたが、これらの国々では2019会計年度に2020年の一部が含まれており、したがって新型コロナウイルスの初期の影響が反映されています。
2019年の税収の対GDP比が前年を上回った7の国・地域のうち、最も大幅に上昇したのはナウル(12.9ポイント相当)ですが、これはナウル移民受入センター(Regional Processing Centre)の雇用者とサービス提供者への所得税率が引き上げられたことによるものです。その他の6の国・地域では、上昇幅は1ポイント未満(トケラウでは1.2ポイント)でした。
長期的にみると、税収の対GDP比は過去10年間に24のうち14か国・地域で上昇しており、中でも上昇率が最も高かったのは、韓国、日本、サモア、モルジブ、ナウルでした。2010年から2019年に最も大幅に下落したのは、ベトナム、パプアニューギニア、カザフスタンで、いずれもその主な要因は法人税収の対GDP比の下落でした。総じて、アジア太平洋地域では財サービス税が主な税収源です (49.8%)。所得と収益に課される税に関して、アジア諸国・地域は法人税により大きく依存しているのに対して、太平洋諸国では個人所得税への依存度が高い傾向があります。
本報告書には、アジア太平洋16か国・地域の税外収入に関するデータも収録しています。2019年に税外収入が対GDP比10%を上回ったのは、サモア(11.0%)、クック諸島(15.3%)、ブータン(19.2%)、バヌアツ (24.2%)、ナウル(85.2%)、トケラウ (220.1%)でした。資金協力が税外収入全体の30%以上を占めたのは、ブータン、クック諸島、ラオス、パプアニューギニア、サモア、トケラウ、バヌアツで、資産税の割合が税外収入の40%を超えたのは、シンガポール、カザフスタン、ナウル、タイ、トケラウ、フィリピン、フィジー、モンゴルです。
アジア開発銀行が執筆した特集では、ポスト・コロナ時代にアジア太平洋諸国が抱える新たな財政問題について論じており、国際的な課税イニシアチブに積極的に関与することで、アジア太平洋の国・地域が新型コロナウイルス後に国内の資源を動員するという課題にいかに取り組み、持続可能な開発目標に必要な資金の不足分をいかに補填できるかを明らかにしています。また、各国内の資源動員と租税政策と税務の調整を支援するために最近設立されたアジア開発銀行のアジア太平洋税務ハブ(ADB Asia-Pacific Tax Hub)がいかにこれらの国・地域の健全な公財政の開発と維持を支援しているかを概観しています。
Revenue Statistics in Asia and the Pacific は、OECD税制・税務センターとOECD開発センターが、アジア開発銀行(ADB)、 Pacific Island Tax Administrators Association (PITAA)、南太平洋連合(SPC)との協力のもとで、アイルランド、日本、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国の政府の支援を受けて執筆しました。
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