OECD － パリ、2017年6月8日

OECDの新報告書、『サービス貿易政策とグローバル経済(Services trade policies and the global economy)』によると、より良いサービス貿易政策は、デジタル化が進むグローバル経済において成功を収める上で必要な情報、技能、技術、資金などの利用しやすさ、市場への参入のしやすさを促進することで、包摂的経済成長を刺激することができます。

本報告書によると 、サービス貿易に関わる政策を改革することがグローバルバリューチェーンを強化し、経済実績を高め、世界中の消費者のに重要な恩恵をもたらすことができます。製造業の競争力は、最新のサービスを最良の価格で利用できるかどうかにかかっており、望ましい透明な規制環境が海外直接投資にとっての魅力につながると強調しています。

サービス業は世界のGDPの3分の2以上を創出し、最も多くのの労働者を雇用し、最も新しい職業を世界全体で創出しています。 OECD-WTO付加価値貿易データベース(OECD-WTO Trade in Value Added (TiVA) database)は、総輸出に占めるサービス貿易の付加価値は、全体の付加価値の50%以上を占め、製品輸出の付加価値の30%以上を占めていることを明らかにしています。しかし、サービス貿易は依然として通信業、金融サービス、運輸、物流、専門職サービスなどの部門では規制の対象となっています。

OECDの新しい分析によると、サービス貿易と投資障壁のコストは依然として高く、財の取引に対する平均関税を大幅に上回っていることがわかります。これらの規制コストを支払うのは、消費者と企業です。運輸、物流、建設という部門では、サービスのコストは規制がない場合のコストを平均で20%程度上回ると推計されており、中にはそれが約80%に上る国もあり、製造業企業、ひいては最終消費者に相当な追加負担を課していることになります。

サービス市場全体で見られる煩雑な行政手続きもまた、複数の市場に参入しようとする企業に追加コストを課しています。規制の違いに匹敵する従価税は、約40%と推計されています。

中小企業は、サービス市場の規制が緩和されより良く規制されるようになることで、恩恵を受けます。中小企業はしばしば、各国の規制要件を特定して必要な書類をそろえることが非常に難しいと感じています。市場参入のコストを削減することで、グローバル市場の機会を得る中小企業が増え、サービス貿易の包摂性が改善されます。

アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べています。「開放されより良く規制されたサービス市場は、グローバル・バリュー・チェーンへの入り口である。サービス貿易政策を改革することで、中小企業を活性化し、貿易コストを削減し、デジタル経済を強化し、グローバル化があらゆる人の役に立つようにすることができる。」

本書は、2014～16年のサービス政策改革を監視し、自由化に向けた一般的な政策シフトを明らかにしていますが、どちらかというと規制が強まった部門もあると述べています。対象となった全ての国々について、改革の余地がある部門と政策領域があり、またどの国にも他国にとってモデルとなり得る優良な実績を上げている分野があります。

本報告書では、各国が調和の取れたサービス貿易政策と規制改革を以下の方法で推進することを提案しています。

• 外国人によるサービス提供を差別する、外国人への参入規制と専門職の移動規制を削減する。
• サービス貿易を促進するために、貿易、投資、競争政策といった様々な側面における戦略的改革を採用する。
• 貿易コストを削減するために、交通と物流サービスの弱点対策を取る。

OECDはサービス貿易政策を記録、定量化し、分析しています。OECDサービス貿易制限インデックス(OECD Services Trade Restrictiveness Index, STRI)は、他では得られない、実証に基づくツールで、世界全体のサービス貿易の80%以上を占める44カ国、22の部門におけるサービス貿易に影響を与える規制に関する情報を提供しています。

STRIデータベースは、これまでにないほど詳細に、外国市場への参入要件に関する最新情報を収録し、サービス貿易を妨げる措置に対して中立的かつわかりやすい分析を提供しています。STRIは政策当局、国際的なサービスの提供者、学術研究向けのデータ源にとって、サービス貿易に関する重要な参考資料となっています。

本報告書の詳細は、下記のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.oecd.org/trade/services-trade/

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 John Drummond, head of the trade in services division of the OECD Trade and Agriculture directorate (+33 1 4524 9536) ；
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