2014年11月5日
複雑で慢性の疾患を抱える高齢者には、健康を維持し、社会への参加能力を最大限に発揮するために、継続的で、個々に合わせたケアが必要です。 OECDの新しい報告書は、日本は、専門的なプライマリーケア分野を強化し、精神医療サービスをより広く利用できるようにして、高齢者への医療サービスの提供のあり方を変えるべきである、と述べています。
本日発表の「OECD医療の質レビュー 日本」によると、日本は、比較的低コストで良好な健康を実現しています。平均寿命のOECD平均は80.2歳ですが、日本では周知のとおり長く83.2歳で、延びています。医療の質を示す指標の一部は、OECDの中で最高です。例えば、乳がん、子宮頸がん又は結腸直腸がんと診断された後の5年相対生存率はいずれも高いものとなっています。しかし、医療費はOECD平均に大変近く、一人当たり年間3484米ドルPPP(購買力平価)です。
これらの成果は、柔軟で緩やかな管理を特徴とした医療制度により成し遂げられました。これらは、制度を利用しやすくニーズに応えやすいものにしているが、課題ももたらしています。
- 日本の急性治療の平均在院日数は17.9日とOECD平均の6.6日よりも断然長い。これは、高額な病院医療から人々の家や家族に近い他の医療提供環境にケアを移すことへの可能性を示唆する。
- 質に関するイニシアチブが制度レベルでほとんど組み込まれていない。制度レベルから1歩離れると、質に関連する活動の拡大がみられるものの、これらが無計画に適用されている。
- 日本の医療の支払い制度は、洗練されている一方、特に洗練された方法や一貫した方法で質を評価するものではない。質のベンチマーキングプロジェクトは任意であることが多く、ベンチマーキングの結果に対する国民の意識は高まっているが、未だに低い。
- 日本の自殺率の高さ(OECD平均は10万人当たり12.3であるが、日本は20.9)、精神科病床数の多さ及び精神科施設での平均在院日数の長さから、精神医療の質及びアウトカムに関して、大きな改善の可能性が示唆される。
これらの課題を克服するために、日本はより構造的な医療制度に移行し質の管理を強化する必要があります。プライマリーケア、急性治療と長期療養の主要なサービスの提供をより良く分化をし、ケアが最適な場所で提供されるようにしなければなりません。この区別とともに、ケアの質を監視及び改善するためのインフラストラクチャが、管理のすべてのレベル(組織、地域、国)において、同時に深まり、組み込まれなければなりません。
OECDの報告書は他に下記の提言を含んでいます。
- 日本の急速な高齢化を考慮すると、予防的及び包括的な高齢者ケアに向けた明確な方向性が必要である。これにおいては、日本で明白なプライマリーケアの専門がないことに対処することが 重要である。
- 日本の病床数を削減し、急性期後の患者のために介護施設や代替施設を整備するべきである。患者を急性治療から地域の環境に効果的に移行するために、ケアコーディネーターの役割を構築することは役立つだろう。
- 精神医療においては、地域社会でより幅広いサービスが利用できるようにして、患者中心のケアを促進させるべきである。サービス利用者の意見が聞かれ、政策に反映される方法を確立することは急務である。
報告書の評価と提言はhttp://www.oecd.org/health/health-systems/health-care-quality-reviews.htmで閲覧可能です。報告書の全体版は2015年春に出版予定です。
「OECD医療の質レビュー日本」に関する詳細は、OECD医療課Francesca Colombo(tel. + 33 1 45 24 93 60) 、 藤澤理恵 (tel. + 33 1 45 24 14 09)または Ian Forde (tel. + 33 1 45 24 81 24)まで。
「OECD医療の質レビュー」は各国で効果的またはそうでない政策を分析し、取組を比較し、医療の質向上への改革の政策提言をしています。国別レビュー後、最終的にすべての政府に関連する教訓や優れた実践をまとめた報告書をまとめています。
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