ハンブルグー2017年7月9日
アンヘル・グリアOECD事務総長は、G20首脳サミットにて、国際協調がこれまで以上に必要とされていると述べました。このサミットは論議を呼ぶ一方で、世界が共通して抱える課題に取り組むための様々な政策において進展が見られました。
グリア事務総長は、ハンブルグのサミット会場で、国家間の協調が持続可能で包摂的な世界規模の成長を実現する鍵を握っていると述べました。「貿易、移民、気候変動、デジタル経済といった世界的な問題に対処する方法が、国際協力を緊密化する以外にあるだろうか。」
グリア事務総長は様々な問題について、OECDがドイツが議長国を務めるG20のために、他の国際機関と協力して行っている政策策定、実証データの収集、標準の設定、監視についての幅広い支援を部分的に折り込んで、スピーチを行いました。
OECDは気候変動とエネルギーに関する継続的な議論の進展に貢献してきました。OECDの報告書、Investing in Climate, Investing in Growthでは、気候変動対策を通常の経済政策に統合することが、経済成長にどの程度プラスの影響を与えるかを明らかにしています。
米国はパリ協定からの脱退を決定しましたが、その他の19カ国は気候変動への取り組みを撤回しないことを再確認しました。
グリア事務総長は、G20首脳に次のように述べました。「環境保護と気候変動への取り組みは、ビジネス、投資、技術、雇用の源泉になり得る。この極めて重要な課題に協調して取り組むための共通の基盤が存在する。」
女性の権利を強化し、男女平等を達成し、2014年のG20ブリスベーン・サミットの公約に基づいて、更なる取り組みを行うというG20諸国の合意を、OECDは歓迎しています。
ガブリエラ・ラモスOECD G20シェルパ兼首席補佐官は、次のように述べています。「2025年までに女性の労働参加率を25%上昇させるというブリスベーン・サミットの公約は、歴史的な第一歩だった。その後進展はしているが、若い女性が差別されることなく、自分の素質を発揮する機会を与えられるようにするためには、まだ課題が残されている。」
ラモス氏は、ハンブルグ・サミットでG20首脳らが女性のビジネス参加を支援する数々のイニシアチブを支持したことに勇気づけられたと述べました。その中には、世界銀行が主催しOECDが分析と経験で貢献している「女性起業家資金イニシアティブ (Women Entrepreneurs Financing Initiative)」も含まれています。
あらゆる市場参加者に対して公平な競争環境を創出する、ルールに基づく世界経済を確保することの重要性が、ハンブルグ・サミットの議論において再確認されました。G20首脳は「鉄鋼グローバルフォーラム(Global Forum on Steel Excess Capacity)」加盟国に対して、2017年8月までに情報共有と協力に関する公約を果たすよう要請しました。このグローバルフォーラムのまとめ役として、OECDは2017年11月始めまでに過剰供給への具体的な解決策をまとめた報告書の作成を支援すると述べました。
G20首脳は共同声明で、あらゆる不公平な貿易慣行を含む保護主義と闘い、貿易と投資を促進する環境を整えると述べました。OECD、WTO、世界銀行、IMFに対しては、貿易の影響をより良く理解するための研究を継続的に行い、2018年のG20サミットにおいて報告するよう求めました。
G20首脳は、世界全体で公平で現代に即した国際租税制度を創設するという公約を再確認しました。ハンブルグ・サミットに先駆けて発表されたG20首脳に対するOECD事務総長報告は、税務当局間の自動的な情報交換に向けた動きと、多国籍企業による租税回避への主な対策の実施といった分野における進捗状況を収録しています。
また、G20首脳は医療問題と、抗生物質が効かない抗菌剤耐性といった世界的な問題への対処方法にも取り組みました。OECDは、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機構(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)と協力して、抗菌剤耐性の研究開発を進め、抗生物質の有効利用と値頃感を確保する方法についての報告書を作成しました。
ハンブルクでは反グローバル化を掲げるデモが行われており、その中で行われたサミットについて、グリア事務総長は次のように述べました。「グローバル化への風当たりが強くなっていることは事実だ。多くの人々は、このシステムが自分たちのためになっていないと信じている。G20は主要諸国がこのシステムを修正するために集団的に正確に行動を起こせる場所である。国境内に隠れたり、財やサービス、人、そしてアイデアの移動に対して新たな障壁を築いたりすることが、この逆風への対処方法になるとは考えられない。」
G20に関するOECDの活動について、詳細はウェブサイトをご覧下さい。
お問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org / tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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