OECD、世界経済の見通しを更新:ウイルスの抑制と人命救助の取り組みを強化しつつ、政府は経済的打撃を吸収するためにより強力で協調的な措置を計画すべき

 

OECD ― パリ、2020年3月27日 ― 4月15日更新

グリア事務総長のG20への声明全文はこちら

 OECDの新たな速報によると、コロナウイルスの拡散を抑制するために厳重な感染拡大防止措置の必要性が高まっていますが、それは必然的に短期的には多くの主要諸国のGDPを大幅に縮小させることになります。

 アンヘル・グリアOECD事務総長は、昨日行われたG20首脳によるオンラインサミットのために、最新のOECD推定値を公表しました。それによると、封鎖(ロックダウン)の影響が経済部門に直接的に及び、その額は主要諸国のGDPの最大3分の1に上ります。封鎖が1か月続くと、GDPの年間成長率2ポイントが失われます。観光業だけでも産出の減少分が70%に上ります。これは、パンデミックとの闘いを続けるために不可避ではありますが、それと同時に、できるだけ早く経済を正常化させるあらゆる措置に着手しなければなりません。

 グリア事務総長は次のように述べています。「今日、公的医療措置にかかっている高いコストは、もっと悲惨な結果と明日の経済へのもっと大きな悪影響を回避するために必要なものである。何百万もの死者が出たり医療制度が崩壊したりすれば我々も社会全体としても財政的に大損害を被る。そのため、このパンデミックを抑え人命を救うことが、政府にとっての最優先事項である。

 「我々の分析によると、ショックを吸収するためにさらに大胆な行動を取る必要があり、政府は人々のライフラインを維持し、医療危機が過ぎ去った後で非常に危うい状態になるであろう民間部門を保護するためにもっと協調的な対応を取る必要がある。」

© OECD – Figure 1. The potential initial impact of partial or complete shutdowns on activity in the G7 economies

Figure 1とFigure 2について、算出には、一部地域ではなく国全体を封鎖したという仮定に基づいています。全ての国について、完全封鎖されると仮定されているのは、輸送用機械器具製造業とその他の個人サービスです。二分の一の下落分は、建設業と専門サービス業の生産によると仮定されます。そして四分の三の下落分は封鎖の影響を直接受けるその他の生産カテゴリーのすべてによると仮定されます。これらは仮定であり、実際の状況は採用された封鎖措置によって、国ごとに異なっていると考えられます。

グリア事務総長は、サウジアラビアが議長国として主催したG20オンラインサミットの成果と、人々と中小企業を支援するためのあらゆる手段を利用するとしたG20諸国の決意を歓迎しました。グリア事務総長はその声明の中で、パンデミックへの取り組みとして「グローバル・マーシャルプラン」を呼びかけています。各国経済に現在及び将来のショックに対する「予防接種をする」ために、グリア事務総長はG20諸国首脳に早急に下記の取り組みを行うよう提案しています。 

  • 医療制度と疫学システムに公的資金を注入する。
  • 金融、財政政策から構造政策まで、あらゆるマクロ経済的手段を動員する。
  • 既存の貿易制限を特に必要性が高い薬剤供給について撤廃する。
  • 脆弱な開発途上国、低所得国を支援する。
  • 雇用者、失業者を問わずすべての労働者、と個人―とりわけ最も脆弱な人々を支援するための最良慣行を共有、実施する。
  • 特に中小企業が破綻しないように、観光業のような特に打撃の大きい部門に特別支援措置を行う。

グリア事務総長は、GDP年間成長率は各国の経済活動停止の程度と期間、経済の他の部分の財・サービスの需要の減少度合い、大胆な金融財政支援の効果が表れるスピードなど、究極的には多くの要因に左右されると強調しています。

あらゆる国々の経済で、この影響の大半は小売・卸売業と専門サービス、不動産業の産出への打撃から生じます。産業部門よっては、各国間で影響に差があるものがあります。(自動車・航空機などの)交通製造業の閉鎖が相対的に重要な国もあれば、観光客やレジャー活動の減少が重要な国もあります。

企業の閉鎖の影響は、先進国と主要な新興市場諸国全体の産出水準を15%以上削減することになります。中所得諸国では、産出は25%も減少する可能性があります。

各国間で影響に差があるのは、産出の構成要素に違いがあるためです。観光業の重要性が相対的に高い多くの国々は、国境封鎖や旅行制限の影響がより深刻になる可能性があります。その一方で、農業と、石油生産を含む鉱工業部門の規模が相対的に大きい国々では、感染拡大予防措置の初期の影響は比較的小さいかも知れませんが、それでも産出はいずれ世界的な商品需要の削減の影響を受けることになります。 

© OECD – Figure 2. The potential initial impact on activity of partial or complete shutdowns on activity in selected advanced and emerging market economies

また、最初の影響が表れるタイミングにも各国間で差があります。これは、感染防止措置のタイミングと度合いの違いによるものです。中国では、産出への悪影響のピークは過ぎており、一部の操業停止措置は解除されつつあります。

OECDはその専門知識をもって、パンデミックの拡大を抑制しその経済、社会的影響―医療、租税、労働、中小企業の雇用から、教育、科学技術、貿易、投資まで―を緩和するために必要な有効な政策の開発において、各国政府を支援しています。OECDは今回の危機に対応するために、新たなプラットフォームを立ち上げ、データ、分析、助言、解決策、そして世界中の国々の政策対応に関する情報をタイムリーに提供しています。

 

 

詳しくは下記までお問い合わせください。

OECD Media Division.

 

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