OECD - パリ、2017年12月6日
環境に恵まれないために、教育や将来的に労働市場において落ちこぼれる人が非常に多いことが、OECDの新報告書、『教育の機会を全ての人に(Educational Opportunity For All) 』から明らかになりました。
それによると、社会経済的に恵まれない環境にある生徒と成人は、学校でも、またその後の人生における学習の機会においても、支援をほとんど受けられていません。
OECDの教育に関する研究を監督しているガブリエラ・ラモスOECD首席補佐官兼G20シェルパは、本報告書の発表会見で、次のように述べました。「教育、とりわけ幼児教育は、社会的不平等の高まりに対処する上で重要な役割を果たす。OECDの実証によると、教育制度において恵まれていない子供は、大人になって給与が比較的少なくなる傾向があり、また寿命も比較的短くなるということを、我々は非常に懸念している。より包摂的な社会を構築するためには、比較的貧しい人々でも自己実現を果たし、人生におけるチャンスをつかめるようにするための教育的取り組みをどの国も一層強化する必要がある。我々は恵まれない子供を優先しなければならない。」
教育における公平性を測る新たな12の指標によると、恵まれない環境にある人々に、より裕福な人々と同じ成功の機会を与えているOECD加盟国はごくわずかで、具体的にはエストニア、日本、韓国、オランダだけでした。それに対して、チリ、フランス、イスラエル、ポーランド、スロバキア、トルコ、英国、米国では、社会的に恵まれている人々と恵まれていない人々の間に非常に大きな格差があります。
PISAのデータを時系列に分析した結果、ほとんどのOECD諸国で、学習成果の公平性格差が2006年から2015年の間、ほとんど変化していないことがわかりました。そしてフィンランドと韓国では、他のOECD諸国と比べると成績の公平性格差が比較的小さいものの、それが拡大していました。
多くの国々で、良質な早期幼児教育、良質な教師のいる学校、成人向け教育・訓練の利用しやすさを、依然として大企業で働く高技能で高い教育を受けた成人や雇用者の方が享受しています。
実際、OECDのデータによると、社会的地位、特に両親の学歴が子供の機会に大きな影響を及ぼしています。OECD諸国平均で、低学歴の両親を持つ子供は、高等教育を受ける機会がわずか15%であるのに対して、両親の少なくともどちらか1人が大卒の場合は、その子供が大学を修了する可能性はその4倍(63%)になります。より高学歴の両親を持つ子供が前期中等教育未満で退学する可能性が、両親の学歴がより低い子供の場合より6倍低くなります。
社会の包摂性を高めるために、政府は生涯学習を支援すべきです。公平な生涯学習制度を創設するためには、公平性を明確に優先し、監視と評価を通じて体系的に成果が上がるようにしなければならないと、本報告書は述べています。教育における不公平を削減するという目標を、地域及び国全体で設定し、優秀な校長や教師が恵まれない環境にある学校で働きたいと思えるようにするべきです。
良質な早期幼児教育・保育への投資が、特に貧しい家庭の子供に必要とされています。家族及び共同体ベースの支援とプログラム、そして恵まれない家庭環境や学校出身で成績が良くない生徒のための的を絞った支援が有益です。
今日の労働環境が変化する社会において全ての成人を支援するためには、政府、雇用主、地域社会が、教育、訓練、実技訓練などを組み合わせて、雇用適正に焦点を当てた成人学習プログラムの提供に共同で取り組むべきです。
教育は、OECDの包摂的成長に向けたイニシアチブの重要な柱の1つです。詳細は下記のサイトをご覧ください。
http://www.oecd.org/inclusive-growth/
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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