2022年7月11日― OECDは、今週末にインドネシアで開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に先駆けて、「OECD事務総長税制報告(OECD Secretary-General Tax Report)」を発表しました。それによると、多国籍企業がどこで活動しても公正な税負担を負うものとする国際税制改革の合意は、履行されつつあります。
本報告書によると、OECD/G20 BEPS包摂的枠組みの加盟国は、2021年10月に135以上の国と地域が合意した、国際的な租税取り決めを改革するという画期的な合意の実践に専念してきました。
本報告書には、新たな「第一の柱」に関する進捗報告が収録されており、市場の管轄権を持つ国・地域が最大規模の多国籍企業の利益に課税できるようにする新しい課税権(「第一の柱」)の実施について、技術モデル規則の包括的な草案が提示されています。本報告書について、今後、8月中旬まで公聴を実施する予定です。包摂的枠組みでは、その後、2023年半ばまでに新しい多国間条約を完成させ、2024年の発効を目指します。マティアス・コーマンOECD事務総長が過去に指摘し、包摂的枠組みにおいて合意されたこの修正スケジュールは、市民、企業、そして最終的に合意を批准する議会組織とより強く関われるように設計されています。
マティアス・コーマンOECD事務総長は次のように述べています。「我々は、国際租税協定の第一の柱のもとで新たな課税権の実施に向け、順調に進んでいる。これは、国際的な税務を根本的に改革する新しい概念を含む複雑で非常に技術的な交渉であるが、デジタル化、グローバル化がさらに進む世界経済において、税制をより公平かつ機能的にするものである。我々は、この作業を確定するべく可能な限り迅速に作業を続けるが、規則を正しく理解するために必要な時間はかけるつもりである。これらの規則は、今後数十年にわたり、我々の国際税務を形成することになるため、正しい理解が重要である」
世界共通の最低法人税率を15%とする「第二の柱」の技術的作業はほぼ完了しており、税務当局と納税者間における実施・調整を促進するための実施枠組み(Implementation Framework)が、今年後半に発表される予定です。現在、すべてのG7諸国、欧州連合、多くのG20諸国とその他の国々が世界的な最低法人税制の導入を計画しています。
本報告書では、第一、第二双方の柱に加えて、透明性アジェンダの実施状況についても最新情報を収録しています。OECD主催の「透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム(Global Forum on Transparency and Exchange of Information for Tax Purposes)」が収集した最新データによると、2021年には少なくとも1億1100万件の金融口座に関する情報が、世界各国の行政機関の間で自動的に交換され、約11兆ユーロの総資産が網羅されています。OECDは、各国が引き続き税の透明性基準の恩恵を受けられるように、新しい暗号資産報告枠組みとOECD共通報告基準の改正を今年後半に完了する予定です。
G20 財務大臣及び中央銀行総裁宛ての OECD 事務総長税制報告書は、下記ウェブサイトからアクセスできます。www.oecd.org/tax/oecd-secretary-general-tax-report-g20-finance-ministers-indonesia-july-2022.pdf
進行中の国際的な税制改革交渉に関する詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。https://oe.cd/bepsaction1
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Pascal Saint-Amans (+33 1 4524 9108), Director of the OECD Centre for Tax Policy and Administration
Lawrence Speer (+33 1 4524 7970) in the OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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