2021年6月8日
新型コロナウイルスのパンデミックにより、精神疾患を抱える人が急増しており、特に若者、失業者、財政的に不安定な人々の間で深刻化しています。各国は、こうした人々に適切な支援を提供するとともに、精神疾患の高い社会経済的コストを削減するために、早急に投資を増やし医療の質を高める必要があります。
OECDの新報告書、「精神医療制度のための新たなベンチマーク:精神疾患の社会経済的コストへの取り組み(A New Benchmark for Mental Health Sytems: Tackling the Social and Economic Costs of Mental Ill-Health)」によると、精神医療は長い間軽視され、投資不足で、OECD諸国でも満たされていない医療ニーズが依然として多くあります。
パンデミック発生以前から、推定で2人に1人が一生の間に精神的不調を経験しており、5人に1人は精神疾患を抱えて暮らしていました。
新型コロナウイルス危機が始まって以来、精神的苦痛のレベルが特に若者の間で急激に高まっており、一部の国々では不安と鬱を訴える人々は2倍に増加しています。
精神疾患の経済的コストは、GDPの4.2%以上に相当し、そのうちの一部は治療の直接コストですが、3分の1以上は雇用率の低下と生産性の低下に関わるものです。こうしたコストは、少なくとも部分的には回避できると本報告書は述べています。
OECD諸国政府は、人を中心とした治療を精神保健戦略の最優先事項にしていますが、精神的不調を抱える人々のほぼ20%が、入院中に丁重に敬意をもって接せられなかったと答えています。精神医療に関わる人々の経験とその成果について、日常的に情報収集している国々は、8か国にとどまっています。
良質な精神医療サービスは利用しやすくなっていますが、精神医療を希望する人々の67%はその利用が難しいと答えています。深刻な精神的不調を抱える人々の寿命は、依然として平均寿命よりはるかに短命です。
本報告書によると、良質な精神医療制度のガバナンスとリーダーシップで重要なことはこの問題を認識することです。しかし、精神医療への支出はOECD諸国で過去10年間に増加しているものの、総医療費に占める割合は上昇しておらず、一部の国々では低下しています。
各国は、精神衛生支援にアプリや遠隔医療といった新たなアプローチを用いて自国の精神医療制度をより革新的で将来を見据えたものにしていますが、持続可能な労働環境と実績を追跡調査し改善するための強力なデータインフラの構築も必須です。そのいずれにおいても、各国の取り組みは不足しています。OECD加盟11か国で人口1万人に対する精神分析医の数は1人以下で、どの国でも精神医療の実績を表す完全な指標を集めることに苦慮しています。
各国は、より素早く有意義な改善を促進するために、精神医療の実績の主要側面に関するより強く幅広く利用可能なデータを開発するべく、投資を増やさなければなりません。
本報告書は、こちらからダウンロードできます。
メンタルヘルスについては、こちらのウェブサイトもご覧ください。
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