2020年7月23日− アジア太平洋地域では、2018年に税収の対GDP比の上昇と国内の歳入増加の取り組みが好調に進展していましたが、税収は新型コロナウイルスのパンデミックの打撃を受けると見られています。
「アジア太平洋地域の歳入統計 2020年版 (Revenue Statistics in Asian and Pacific Economies 2020)」によると、2018年には、ブータン、中国、モンゴル、今回初めて収録されたナウルなどを含むアジア太平洋地域の21カ国のうち3分の2以上の国々で税収の対GDP比が上昇しました。この地域の税収の対GDP比は、インドネシアの11.9%からナウルの35.4%まで、国によって差がありますが、ナウルだけが税収の対GDP比のOECD平均値の34.3%を超えていました。本書に収録されているアジア11カ国のうち8カ国は税収の対GDP比が20%を下回り、また太平洋地域の10カ国のうち7カ国では23%を上回りました。
税収の対GDP比が2017年から2018年に最も上昇したのはナウル(6.4ポイント)、トケラウ(3.8ポイント)、モンゴル(2.5ポイント)でした。いずれの場合も税制変更の結果で、モンゴルでは個人所得税率とアルコール、たばこ税の引き上げ、トケラウではたばこ税の引き上げ、ナウルでは数種類の税率を引き上げました。その他4カ国では、税収の対GDP比が1ポイント以上上昇しましたが、ブータンのみは1ポイント以上(1.4ポイント)下落しました。
アジア太平洋諸国の租税構造は国によって大幅に異なっています。本書に収録されている21カ国のうち10カ国では、2018年の税収では財・サービス税が占める割合が最も高くなっていました。その他の国々では所得税が主な税源ですが、日本は例外で、社会保険料が主要な税源でした。
本書の特集では、アジア開発銀行との共同研究で、新型コロナウイルス危機における租税政策と税務の役割を取り上げています。それによると、アジア太平洋地域では税収と税外収入が今回の危機で大幅に減少すると見られており、各国はその経済構造に応じて様々な影響を受けることになります。天然資源、観光、貿易税に依存している国々は特に脆弱です。
本報告書では、今後考え得る政策対応を指摘する中で、アジア太平洋地域では環境関連税の役割は引き続き限定的ですが、新型コロナウイルスのパンデミックから環境に配慮した回復を促進する上でそれが主要な歳入源になり得ると述べています。2018年の各国の環境関連税収の対GDP比は、OECD平均が2.3%であるのに対して、パプアニューギニアの0.05%からソロモン諸島の8.0%まで幅がありました。
この2020年版は第7版で、アジアのGDPの75%以上、太平洋地域の90%以上を占める21カ国を取り上げています。本書に収録されているデータは、下記のデータベースにも収録されています。
Global Revenue Statistics Database
このデータベースには、105カ国の比較可能な租税と歳入のデータを収録しています。
本報告書は、OECD税制・税務センターとOECD開発センターが、アジア開発銀行(ADB)、 Pacific Island Tax Administrators Association (PITAA)、南太平洋連合(SPC)との協力のもとで、アイルランド、日本、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデン、英国の政府の支援を受けて執筆しました。
本報告書、データ、主な結論、カントリーノートなどは、下記のウェブサイトでご利用いただけます。
http://oe.cd/revenue-statistics-in-asia-and-pacific
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Carrie Tyler (Carrie.Tyler@oecd.org; Tel: +33 (0)1 45 24 98 17)
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