OECD ー パリ、2021年6月14日
妥当な価格で暮らしやすい住居を手に入れることは、よい健康と雇用の機会、生活満足を得る上で不可欠ですが、住宅は依然として現代社会が抱える最も複雑な政策問題の一つです。政府は、より良質で環境面で持続可能な住宅を誰でも購入できるようにする住宅政策を強化しなければなりません。
新型コロナウイルス危機により、人口グループ間で住宅事情に偏りがあること、貧弱な住宅事情が特に社会的弱者に及ぼす影響がさらに悪化したことが明らかになりました。
2018年に始まったOECD Housing Projectは、比較可能な実証、分析、政策提言をまとめ、住宅を購入しやすく、エネルギー効率が良くて人々のニーズに応えるものにしようとする政府の取り組みを支援しています。
マティアス・コーマンOECD事務総長は、次のように述べています。「住宅は住むための場所であるだけでなく、家計支出の中で最大の支出項目であり、経済実績と幸福の双方における主要素である。
本日ご紹介するOECD Housing Policy Toolkitは、住宅価格の問題のような、政策当局が住宅市場の現状に対処より良い住宅政策を立案する手助けをするもので、住宅政策が社会全体に及ぼす影響を改善するだろう」
多くの国々で住宅価格が急激に上昇しており、最富裕層20%の予算に占める住宅コストは4分の1であるのに対して最貧層20%では予算の3分の1以上を占めています。また、公共投資がかつてないほど低水準になっている今、ツールキットからは次の4つの優先分野が明らかになっています。
1. 供給を増やすことが、現在と将来の住宅ニーズを満たすカギとなります。エネルギー効率が高い社会住宅への公共投資を増やすことで、特に低所得者や収入が不安定な世帯の住宅問題が緩和されます。環境に配慮した社会住宅の建設は、建築業界全体のエネルギー転換を促す触媒の役割も果たすことができます。
2. 土地利用方法の改革により、過剰な建築制限や区画の大きさに関する要件など、新築の障害が軽減されます。土地利用計画は、区画ごとのアプローチではなく都市全体のニーズに基づいて決定しなければなりません。このような改革は、過去40年間にOECD諸国で広がった住宅の実質価格の急上昇に歯止めをかけることになります。
3. 家賃統制など、家主と賃借人との関係に対する規制緩和により、住宅投資が奨励される可能性があります。過去1年間に、新型コロナウイルス危機の打撃が深刻な賃借人を保護するために、こうした規制が強化されています。本ツールキットによると、時間が経つにつれて、そのような措置によって賃貸住宅の供給が減少し、いずれは、特に低所得または所得が不安定な人々が賃貸住宅を借りることが困難になる可能性があります。
4. 合意されている温室効果ガス排出削減目標を達成し、既存の住宅のエネルギー効率を高めるために、厳しい環境基準を採用する必要があります。それは、住宅の建築費用と賃貸料を上昇させるかもしれませんが、こうした投資により暖房費が下がり、長期的に住宅の価値が維持されることになります。
Housing Policy Toolkitには次の内容が収録されています。
OECD Housing Week、2021年6月14~18日の詳細
OECD Housing Projectの中心的政策目標は、良質な住宅を妥当な価格で利用できるようにすることです。最近の進捗状況は、OECD Affordable Housing Databaseの国際比較指標で図示しています。このデータベースには、世界40以上の国々の住宅市場、住宅事情と購入可能性、妥当な価格での住宅利用を促進する公共政策に関するデータを収録しています。
Affordable Housing Database の更新版は、6月16日(水)に発表されます。
マティアス・コーマンOECD事務総長は、6月16日(水)日本時間21:00(パリ時間14:00)から行われる住宅政策に関するハイレベル政策会議にて、基調講演を行います。それに続いて、イタリアの持続可能なインフラ・移動担当大臣エンリコ・ジョバンニーニ氏が講演を行います。
最初のパネル、Mobilising the OECD Housing Policy Toolkit to future-proof housing markets(日本時間21:25~22:25)では、OECD経済局政策研究課長ルイス・デ・メロによるプレゼンテーションに続いて、閣僚、政府高官などによるパネルディスカッションが行われます。
2番目のパネル、Investing in affordable and social housing to facilitate an inclusive economic recovery(日本時間22:25~23:30)では、OECD雇用・労働・社会問題局局長ステファノ・スカルペッタによる講演に続いて、住宅政策の専門家によるパネルディスカッションが行われます。
Housing Policy Roundtableに参加ご希望の方は、下記ウェブサイトからご登録ください。 https://meetoecd1.zoom.us/webinar/register/WN_o8UCtIlzRz618_AvEICeUA
OECD Housing Projectについて、詳しくは下記までお問い合わせくださいLawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
OECDは、世界100か国以上と協力して、個人の自由を保護し世界中の人々の経済・社会的幸福を向上させる政策を推進する、グローバルな政策フォーラムの役割を担っています。
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