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Japan

OECD加盟50周年

 

OECDへの期待と日本の役割

日本は東京オリンピックが開催された1964年にOECD加盟 を果たしました。加盟の意義は大きく分けて3点あったと いえましょう。第一は,1954年のサンフランシスコ平和条 約,1955年のGATT加盟に次ぐOECD加盟は,日本が名実とも に先進国の仲間入りを果たしたという歴史的意義です。第 二は,OECDの提言,分析・データを活用した国内の改革の 推進です。加盟を通じて資本移動の自由化が推進されまし た。第三は,OECDを通じた国際社会の課題の解決に向けた 貢献です。日本は,マクロ経済,開発,貿易・投資,税等 の分野でのルール策定に積極的に貢献してきました。


危機に強い経済社会の構築に向けて

 日本がOECDに加盟して50年の間に,国際社会の構図は大 きく変わりました。冷戦の終了,新興国の台頭,世界経済 危機に加え,携帯電話,インターネットといったICT,ソー シャルメディアの発達は,各国の政策に大きな影響を与え ています。多くの不確実性が存在する現在,国,社会,個 人が「レジリエンス(しなやかな強靱さ)」を高めていく ことの重要性が注目を集めています。レジリエンスは,危 機に直面した際に,いかに被害を最小化して致命傷を避け るとともに,そこから迅速に回復する力を意味します。 冬の積雪によってしなやかにしなるが折れることはなく, 雪解けの後真っ直ぐ力強く成長し始める日本の竹は,まさ に「レジリエンス」を象徴するものといえるでしょう。 日本は,このような「レジリエンス」をこれまでも示して きました。オイルショックからの回復の経験,また,2011 年3月11日の東日本大震災からの現在進行中の復興など は,日本のレジリエンスを示す好例と言えましょう。


加盟50周年を迎える2014年,「レジリエント(しなやか で強靱)な経済と包摂的社会」のテーマの下,日本は閣僚
理事会の議長国を務めます。OECDでは2008年金融危機を十 分に予測し得なかった反省に立ち,グリアOECD事務総長の イニシアティブの下,「経済的課題に対する新たなアプロ ーチ」プロジェクトが立ち上げられ,これまでの政策提言 や分析手法の再検討が行われています。現下の不安定な世 界経済の下で,人・国・国際社会がレジリエントであるこ とが,まさに求められているといえましょう。
 
 

>> © OECD Observer

 

アジアとの関係強化

1964年は,OECD設立後,初の新規加盟国として日本が21 番目の加盟国となった年であると同時に,OECDが欧米の国 際機関からグローバルな国際機関としての第一歩を踏み出 した年でもあります。それから50年を経て,OECDの加盟国 は中東欧から中南米まで拡大しましたが,アジアからの加 盟国は,依然日本と韓国のみです。21世紀は「アジアの世 紀」とも言われています。OECDはアジアから中国,イン ド,インドネシアをキーパートナー諸国として関係強化を 戦略的に進めており,また,東南アジア諸国との関係強化 に向け,2014年5月の閣僚理事会で,「東南アジア地域プロ グラム」を立ち上げる予定です。OECDと東南アジアとの橋 渡し役を担うべく尽力していきたいと考えています。



OECDの役割

今後の国際社会において,OECDがグローバルな国際機 関,「世界最大のシンクタンク」としてその存在意義を強 化していくために何をなすべきでしょうか。OECDが持つ優 れた点は,同質性を有する加盟国間の自由な意見交換やベ スト・プラクティスに関する議論を通じて合意形成を促す という点と,経済・社会に関わる広範な課題への重層的, 複合的,多面的な分析にあります。このような過程を経て 策定された各種ガイドライン等は,先進国による高度な国 際標準になっているといえます。


経済のグローバル化が進展する中,OECDは,経済的な重 要性を増大させつつある新興国にこうしたガイドラインの 有用性を説きつつ,またG20などの国家間の経済フォーラム での議論にこれまで蓄積してきた分析・提言に基づきより 一層積極的に貢献していくことが求められています。OECD の第二位の拠出国である日本政府として,加盟50周年の節 目に際し,OECDに更なる貢献を行っていく決意を改めて表 明いたします。


外務大臣 岸田 文雄


※日本は,2014年5月6,7日に開催されるOECD閣僚理事会の 議長国です: http://www.oecd.org/mcm
http://www.mofa.go.jp/mofaj

© OECD Observer No 298 Q1 2014

 

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