OECD-パリ、2019年7月12日
成長の鈍化、不透明感、不平等の高まりを受けて、各国政策当局はより強く、持続可能で、より包摂的な成長を達成するための行動を早急に取るべきです。
OECDの年次報告書、『成長に向けて2019 (Going for Growth2019)』では、グローバル化、デジタル化、人口高齢化、環境悪化が経済発展を左右する主な力となる時期に、経済成長が弱まっていると指摘しています。こうした巨大潮流をより良く管理するために、各国政府は、長期成長を促進し、競争力と生産性を改善し、雇用を創出し、クリーンな環境と公平な機会を人々に与えるために、それぞれの国で必要な構造改革を慎重に選び、立案し、優先順位を決めて実施しなければなりません。
この2019年版では、OECD加盟国と非加盟国46カ国において最も優先されるべき構造改革を収録するとともに、過去数年間の主要な改革の進捗状況を評価しています。それによると、2017~2018年の改革の進み具合は残念ながら遅く、その前の2年間に観察されたすでに緩やかだったペースから上向く兆しはほとんど見られませんでした。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、7月17~18日にフランスのシャンティリーで開催されるG7財務大臣会合に先駆けて行われた本報告書の発表会見で、次のように述べました。「経済成長が鈍化し新たなテクノロジーが経済を急激に変化させているため、包摂的で持続可能な成長を促進する改革に引き続き取り組むことが急務である。Going for Growthは政策当局に、経済成長を高め、機会の平等と包摂性を拡大し、環境の持続可能性を改善する取り組みの焦点をどこに当てるべきかを明らかにしている。我々の主要な提言はG7諸国だけでなく、OECD全加盟国及び主要な非加盟国にも拡大適用されるべきである。現在、そして将来の世代の生活をより良くするために、今こそ改革を行うべきである。」
G7財務大臣会合の招致国であるフランスのブルーノ・ル・メール経済財政担当大臣は、次のように述べました。「強く、包摂的で持続可能な成長を確保することは、G7の全ての国々にとっての課題である。フランスはそのことを非常に真剣に受け止めている。その証拠に、近年フランス政府は、競争力を高め、環境に配慮した経済、デジタル経済へと転換させるため、労働市場、教育、税制改革を採用している。フランス政府を代表して、私はOECDのGoing for Growthが我々の取り組みを認めてくれたことを嬉しく思う。そして、我々は改革とイノベーションへの投資をさらに推し進める。それが明日の成長の鍵を握っている。」
Going for Growth 2019 は、包摂的成長を促進する改革の優先順位は国によって異なると述べています。共通しているのは、その多くが様々な労働者と企業の間に、その生活や経営をより公平にする機会を創出できるということです。
教育は、各国間で最も共通している改革優先事項で、現在及び将来の世代が良質な雇用を見つけ、より生産性の高いキャリアを築けるようにする上で不可欠です。労働市場の分断化の問題に対処し、女性や移民、少数者、高齢労働者などの労働市場への参加条件を改善することも、あらゆる人々が成長の恩恵を受けられるようにするために必要です。
課税ベースを所得から財産に移行させることで、特に先進諸国の経済成長が高まると見られています。公共部門の効率改善、法の支配、適切で利用しやすいインフラの提供は、資源を節約し、市場を活用し、企業がイノベーションに対して投資する条件を整えるために、特に新興市場諸国にとってーそしてその他の国々にとってもー重要です。
最後に、財・サービスの市場における競争を促進する改革は、困難を伴うものです。しかし、新規参入への市場開放、競争、海外貿易、投資は、イノベーション、デジタルテクノロジーの普及、そして究極的には生産性の伸びと社会的包摂にとって不可欠です。こうした改革を、Going for Growth では引き続き、優先事項としています。
本報告書で特に強調しているのは、経済成長を環境面で持続可能にするための改革に焦点を当てることです。本報告書では、大気汚染、気候変動、環境の持続可能性に対処する際の既存の主要課題を明らかにし、各国が環境税を活用し、農業助成と環境に有害な税控除の段階的に撤廃し、より良い低炭素の公共交通への投資を含めて交通部門からの温室効果ガス排出量を削減する追加策を採用するよう提言を行っています。
主な結論とG20各国についてのカントリーノートは、下記のウェブサイトからダウンロードできます。
http://www.oecd.org/economy/going-for-growth/
本報告書に関する記事から、上記のウェブサイトにリンクを張っていただけましたら幸いです。
日本のカントリーノート(日本語版)はこちらからご覧ください。
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Lawrence Speer (+33 1 4524 7970)
OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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