2019年7月24日-OECDが本日発表する「アジア太平洋諸国の歳入統計(Revenue Statistics in Asian and Pacific Economies)」によると、本報告書の対象となっている大多数のアジア太平洋諸国で、税収の対GDP比が増加しました。2016~2017年に税収の対GDP比が上昇した国は、本報告書に掲載されている17カ国のうちの9カ国で、その数はその前年にはわずか3カ国でした。
本報告書では、初めて掲載されたバヌアツを含む17カ国を取り上げています。これらの国々の税収の対GDP比は、インドネシアの11.5%からニュージーランドの32.0%まで非常に多様です。総じて、太平洋諸国の税収の対GDP比の方がアジア諸国よりも高くなっています。太平洋諸国の税収の対GDP比は、トケラウ(14.2%)とバヌアツ(17.1%)を除く全ての国々で24%を上回ったのに対して、アジア諸国では、韓国(26.9%)と日本(30.6%、2016年の値)を除く国々で18%を下回りました。.
2017年にほとんどの国々で歳入が増加したのは、租税政策や税務の変化ではなく、主に経済的要因によります。そうした要因としては、カザフスタンにおける石油生産から得られる収益の増加、ソロモン諸島の林業の成長、バヌアツの2015年のサイクロン被害からの復興などがあります。その一方で、パプアニューギニアでは、景気低迷により法人税と付加価値税収入が減少したため、税収の対GDP比が落ち込みました。より長期的に見ると、本書に掲載されている17カ国のうち11カ国では、2007年から2017年の間に税収の対GDP比が上昇しています。上昇しなかった6カ国は、オーストラリア、インドネシア、カザフスタン、パプアニューギニア、ニュージーランド、バヌアツです。
本報告書には、太平洋5カ国(クック諸島、パプアニューギニア、サモア、トケラウ、バヌアツ)の税外収入に関するデータも収録しています。税外収入には、主に資金協力、資源収入(漁業と鉱業を含む)、その他が含まれますが、これはクック諸島、トケラウ、バヌアツのGDPの少なくとも6%に相当します。これら5か国全てにおいて、資金協力が税外収入全体の30%以上を占め、クック諸島(65.7%)、パプアニューギニア(59.9%)、サモア(51.1%)、バヌアツ(52.2%)では、税外収入の主な源となりました。
本報告書はOECD税制・税務センターとOECD開発センターが、アジア開発銀行(ADB)、 Pacific Island Tax Administrators Association (PITAA)、南太平洋連合(SPC)との協力のもとで、欧州連合の支援を受けて執筆しました。
本報告書には、ADBとの協力で作成されたこの地域の税務運営を考察した特集が収録されています。
主な結論
税収の対GDP比
- 2017年の税収の対GDP比は、17カ国間で大きな差があり、最も小さいのはインドネシアの11.5%、最も大きいのはニュージーランドの32.0%である。本書に掲載されているアジア太平洋諸国の税収の対GDP比は、OECD平均の34.2%を下回っている。
- 8カ国の税収の対GDP比は、南米・カリブ諸国の平均である22.8%を上回った。
- 5カ国(フィジー、カザフスタン、シンガポール、ソロモン諸島、バヌアツ)では、2016年から2017年にかけて1.0ポイント上昇したのに対して、下落幅が最も大きかったのはマレーシアとパプアニューギニアである(両国とも0.7ポイント)。
- 過去10年間に税収の対GDP比は、11カ国で上昇、6カ国で下落した。上昇幅が最も大きかったのはフィジーとソロモン諸島(それぞれ4.4ポイント、4.5ポイント)で、下落幅が最も大きかったのはカザフスタンとパプアニューギニア(それぞれ9.7ポイント、7.0ポイント)だった。
租税構造
- 本書に掲載の9カ国はで、財・サービスへの税が2017年の税収の中で最も大きな割合を占めた。ほとんどのアジア太平洋諸国において、財・サービスへの税のうちで付加価値税が最も重要かつ増加している歳入である。
- 所得税は、日本を除く残り8カ国において、主要な税源である。日本では、社会保険料が最大の税源である(税収総額の40.4%、2016年の値)。
- アジア諸国の租税構造は、太平洋諸国のそれとは異なっている。
- オーストラリアとパプアニューギニアを除く太平洋諸国では、付加価値税が税収全体の少なくとも25%を占めているのに対して、インドネシアを除くアジア諸国では、その割合は25%を下回っている。
- 日本と韓国を除くほとんどのアジア諸国では、法人税収が個人所得税収を上回っている。それに対してフィジーを除く太平洋諸国では逆に個人所得税収の方が多い。
- 付加価値税からの税収は、オーストラリアでは税収全体の12.9%(2016年の値)であるのに対して、クック諸島では44.4%で(ソロモン諸島とトケラウは付加価値税を導入していない)、アジア諸国と比べて太平洋諸国において、税収全体に占める割合が高い。
- トケラウ(法人課税をしていない)とバヌアツ(所得課税をしていない)を除く全ての国々を比較すると、法人税収が税収全体に占める割合は、サモアの9.1%からマレーシアの41.5%まで幅がある。
本報告書は、下記のウェブサイトでご覧になれます。http://oe.cd/revenue-statistics-in-asia-and-pacific
お問い合わせ
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OECD Centre for Tax Policy & Administration: Lawrence Speer (Lawrence.Speer@oecd.org; +33 1 45 24 79 70);
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