パリ、2018年10月4日
OECDの新報告書、「国境なき税務調査官(Tax Inspectors Without Borders)」によると、資格要件を満たした専門家を開発途上国に配置して、多国籍企業に実効性のある課税を行う能力を強化するという画期的な国際協力イニシアチブにより、過去1年間に金字塔が打ち立てられました。
本報告書は、OECDと国連開発計画(UNDP)の共著で、これら国際機関は、アフリカ、アジア、欧州、南米、カリブ諸国における税務監査を改善し、遵守の取り組みを厳しくすることにより、国内の歳入を増やすことに寄与しています。
2018年4月までに国境なき税務調査官(TIWB)プログラムとTIWB形式の支援の貢献に直接帰することができる歳入増加分は、4億1400万米ドルに上ると推定されています。本報告書は、OECDとUNDPのパートナーシップ協定の下で行われた2年目の活動を記録しています。
増加した歳入額は、プログラムにかかるコストの約100倍になり、TIWBに費やされる1米ドルにつき、100米ドルの追加税収がもたらされていることになります。
TIWBは10件のプログラムを完了、34件が現在進行中で、さらに20件について準備が行われています。TIWBは、2020年までに開発途上国に税務調査官を100人配置するという目標を掲げています。
11カ国が税務署員を派遣して、開発途上国の税務調査官に直接現場で指導を行っています。新たな南南協力の機会も現れ、インド、ケニア、ナイジェリア、南アフリカが知見を提供する側になっています。
TIWBプログラムは、開発途上国の行政のニーズによって進められており、多岐にわたる専門的な問題と産業部門を対象としています。現在のプログラムはリスクに基づく調査事例の選択、監査プロセス、事前確認取極の交渉などに特化しています。TIWBプログラムの下での監査は主に移転価格と国際課税の様々な問題を扱っており、その中には恒久的施設、運用報酬とサービス料の検証(validation of management and service fees)、知的財産の評価などが含まれます。
監査の対象は、農業、建設業、金融サービス業、情報通信業、サービス業、製造業、鉱工業など、様々な産業部門にわたっています。
ジェームス・カランジャTIWB事務局長は、次のように述べています。「国境なき税務調査官プログラムは、コストに見合う優れた価値をもたらしており、我々は歳入への直接的影響もさることながら、長期的なプラスの見返りの方を重視している。現在行われている技能移転は、世界全体の税務当局の組織改編を促進し、将来的には納税者の遵守意識を大きく高めることになるだろう。開発途上国に自ら税制を用いて歳入を増やすという、我々が開発している体系的変化のためのモデルは、経済社会の発展のために極めて必要とされているものである。」
TIWB年次報告書は、英語の他、フランス語、スペイン語で出版されます。
詳しくは下記までお問い合わせ下さい。
TIWB Secretariat
Lawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 45 24 79 70)
Sangita Khadka at UNDP (+1 212 906 5043).
10月4日17時(パリ時間、日本時間では5日深夜12時)にWebinarによるライブ中継を行い、TIWB事務局が本報告書について解説し、ご質問にお応えします。こちらからお申し込みください。
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