OECD – メキシコシティ、2018年2月21日
中小企業による代替的資金源の利用が増える一方で、新規の銀行融資は多くの国で減少しています。しかし、多くの中小企業は依然として銀行の与信に過度に依存しており、社債以外の資金調達の利用状況は、国ごとに大きく異なっています。
OECDの新報告書、「中小企業・起業家の資金調達:OECDスコアボード2018年版(Financing SMEs and Entrepreneurs 2018: An OECD Scoreboard)」によると、中小企業へのベンチャー投資と私的負債が、ソーシャルレンディング、クラウドファンディング、インボイス取引とともに、2016年の調査対象となったほとんどの国々で増加しました。オンラインによる代替資金源の活用が特に多かったのは、中国、英国、米国でした。リーシング、分割払い、ファクタリング、インボイスディスカウントは、いずれも信用状態ではなく資産価値に基づいており、2年連続で増加しています。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、メキシコシティで開催中のOECD SME Ministerial Conference 2018 で、メキシコのイルドフォンソ・グアヤルド・ビジャレアル経済相とともに本報告書の発表会見に臨み、次のように述べました。「中小企業の資金調達には依然として課題が残されているが、代替的資金調達がこのように顕著に伸びていることは、明るいニュースだ。どの国でも、小規模企業はイノベーション、競争力、包摂的成長に不可欠である。こうした企業が成功して我々の経済と幸福に大きく貢献するならば、創業時から切れ目なく信頼できる資金調達ができることが必須である。」
2016年も中小企業の倒産は引き続き減少しており、事業環境が改善していることがわかります。本スコアボードによると、2016年の年間倒産率中央値は6.5%で、2014年の6.9%、2015年の9.1%を下回りました。返済遅延と不良債権も、調査対象となった大半の国々で相対的に低い水準に留まっています。また、中小企業は与信条件の緩和と低金利の恩恵も受けています。中小企業が負担する平均金利の中央値は、この1年で0.82ポイント下落しました。
こうしたプラスの動向にも関わらず、新規の銀行融資は2016年のデータがある25カ国中15カ国で減少し、新規の中小企業向け融資の伸び率中央値は2015年の2.6%から、2016年はマイナス5.6%に下落しました。さらに小規模企業の一部、特にマイクロ企業、若い中小企業やスタートアップ、革新的で成長指向のベンチャーにとっては、適切な資金源の利用が依然として困難です。中小企業ファイナンスに関するG20/OECDハイレベル原則に沿って、政府は従来型及び代替的な資金調達方法の双方を中小企業が利用できるよう促進する取り組みを強化する必要があります。
中小企業と起業家はOECD諸国の屋台骨を担っており、全雇用の70%、付加価値の50~60%を創出しています。生産性を強化し包摂的成長を促進し、新産業革命や働き方の変化、人口動態の変化といったメガトレンドに適応する鍵を握っています。
本報告書は、SMEスコアボードの第7版で、43カ国の2007~2016年の中小企業の資金調達の状況を評価するために、負債、株式、資産ベースの資金調達、支払い能力、枠組み条件に関するデータを収集し、各国の事情を詳細に収録しています。OECDは、中小企業の資金調達に関する実証データをさらに拡大し、政府のこの分野における政策改善を支援しています。
中小企業と起業に関するOECDの活動の詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。
www.oecd.org/cfe/smes.
中小起業に関するOECDデータはこちらからご覧ください。 OECD data on SMEs.
ハイライトはこちらからご覧ください。http://www.oecd.org/cfe/smes/Highlights-Financing-SMEs-and-Entrepreneurs-2018.pdf
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Miriam Koreen, Deputy Director of the OECD Centre for Entrepreneurship, SMEs, Regions and Cities;
OECD Media division (+33 1 4524 9700).
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs