OECD - 2019年2月26日
デジタル技術は我々の生活を向上させることができるものですが、社会の不平等を拡大させ、スキルを持たない人々がオンラインの世界を安全に利用する機会を遮断するという大きなリスクももたらします。
人々が技術的スキル、情動的スキル、社会的スキルを併せ持つことが、精神衛生上の問題とオンライン技術の乱用につながるその他のリスクを避け、デジタル生活と実生活とをバランス良く結びつける前提条件です。
OECDの新報告書、「デジタル時代の幸福(How’s Life in the Digital Age? )」では、OECDの幸福度枠組みの11の側面を用いて、人々がインターネット、モバイル端末、ビッグデータ、人工知能を利用する際に直面するリスクと機会を国際的に評価しています。11の側面とは、所得と資産、仕事と報酬、健康状態、教育とスキル、仕事と生活の両立、市民参加とガバナンス、社会とのつながり、環境の質、個人の安全、住居、主観的幸福です。
フィンランドのスコアは高く、市民はデジタル化から多くの恩恵を受け、リスクからは比較的良く保護されています。その他、カナダ、スイス、ノルウェー、韓国、ニュージーランドも良い実績を上げています。
機会が少なくリスクが大きい国としては、チリ、イタリア、ハンガリーが挙げられる一方で、機会もリスクもともに大きい国は英国と、それより程度は低いもののデンマーク、スウェーデン、オランダもその中に含まれます。
アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べています。「デジタル技術は我々の働き方、消費の仕方、コミュニケーションの取り方を急速かつ根本的に変えている。この変化を確実なものにすることで、デジタルの公平性、理解力、安全といった問題に取り組む我々の手段も向上する。」
本報告書によると、デジタル技術が人々の幸福に及ぼす影響の二面性は、ほとんどの幸福の側面に見られます。例えば、新しい技術部門では雇用が創出されますが、自動化によって失われるリスクがあるものもあります。また、テレワーク(在宅勤務)によって人々が自分の仕事と生活をより柔軟に管理できるようになると、人々は常に職場とつながっていることで勤務時間外にも仕事のことを気にするようになるかもしれません。
友人とのオンラインによる交流やソーシャルネットワークは楽しく満足感をもたらしますが、ネットいじめ、嫌がらせ、ヘイトスピーチは深刻な社会問題となっています。
デジタル技術を、人々の幸福の基本的要素を損なうことなく最大限活用するには、様々な認知的、情動的スキルが必要です。このような「デジタルリテラシー(理解力)」の一例は、良質な情報とそうでないものとを区別するために必要な批判的評価ですが、その一方で、オンラインに関する自己制御によって、デジタル中毒を防ぐことができます。
本報告書では、高度にデジタル化された環境においてもリスクを削減する公共政策を通じて、多くのことが達成できると述べています。各国の指標から明らかなように、インターネットへのアクセスが普及するだけでは、プラスの機会を正しく捉える上で不十分です。
本報告書では、ほとんどのOECD諸国のデジタル転換に伴う機会とリスクを、幸福の諸側面を含む33の指標で評価しています。その中には、ICTスキルがもたらす賃金、オンラインでの財・サービスの売買、学校におけるデジタル資源、個人情報を悪用された個人の経験、自動化のリスクにさらされる雇用などが含まれます。本報告書は、しかし、これらの指標は包括的ではなく、デジタル化が我々の幸福にどのように影響するかをより深く理解するためには、更なる実証と統計の収集が必要であるとも述べています。
本報告書はこちらからダウンロードできます。
日本語サマリーはこちらからお読みいただけます。
幸福とより良い暮らしイニシアチブに関するOECDの活動については、下記のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.oecd.org/statistics/better-life-initiative.htm
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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