OECD-パリ、2018年10月22日
本日発表されたOECDの新報告書、『2060年までの世界物質資源アウトルック(The Global Material Resource Outlook to 2060)』(プレビュー版)によると、世界の人口が急増して100億に達し、一人当たりの所得平均も現在のOECD諸国の水準である4万米ドルに近づくため、世界全体の資源利用量は現在の90ギガトンから、2060年には167ギガトンにまで増加すると予測されています。
こうした課題に具体的な対策を立てないと、バイオマス、化石燃料、金属、非金属鉱物などの資源の採掘と加工が増えると予測されており、大気、水質、土壌の汚染、汚濁が悪化し、気候変動にも深刻な影響を及ぼすと見られています。産業が製造業からサービス業に徐々に移行し、また製造業の効率が継続的に改善して、GDP1単位当たりの資源消費量が減少しているにもかかわらず、このように増加しています。産業の移行と効率改善がなければ、環境への影響はもっと深刻だったことになります。本報告書の予測では、中国その他の新興諸国でインフラブームが終焉するため、需要が横ばいになることも考慮に入れています。
本報告書のプレビュー版は、横浜で開催されている世界循環経済フォーラム2018(World Circular Economy Forum)で、河野正道OECD事務次長が発表します。本報告書によると、資源消費量が最も増加するのは、特に急成長している開発途上国で消費される建築資材と金属を含む鉱物です。
砂、砂利、石灰石、砕石といった非金属鉱物は、今日消費される資源のギガトン単位で半分以上を占めています。他の資源と合わせると、1日に平均的な家庭が消費する資源の量は、浴槽1つ分に相当します。この量は、これから2060年まで増加の一途をたどると見られています。
リサイクル業は、対GDP比で現在は鉱業部門の10分の1の規模で今後もっと競争力をつけて成長すると見られていますが、原料採掘業と比べると依然として遥かに小規模です。
本報告書では、7種類の金属(鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、マンガン)と3種類の建築資材(コンクリート、砂、砂利)の地球環境への影響を分析しています。それによると、酸化、大気汚染と水質汚濁、気候変動、エネルギー需要増、人体、水と土の毒性などの分野で深刻な影響があります。
これらの金属と鉱物のうち、1キロ当たりの環境影響が最も大きいのが銅とニッケルで、環境への絶対的影響が最も大きいのは利用量が多い鉄鋼、コンクリートです。
化石燃料の採掘と燃焼、鉄鋼、建築資材の生産は、すでに大気汚染と温室効果ガス排出の主な原因となっています。新たな排出削減政策を導入しない限り、資源管理から排出される排出量の総量は、CO2換算で現在の28ギガトンから、2060年までに50ギガトンに達すると本報告書は述べています。
プレビュー版は、こちらからダウンロードできます。
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