OECD - パリ、2017年6月20日
各国の天然資源や環境から得るサービスの利用効率は高まっており、炭素排出量およびエネルギー、あるいは原料消費量の一単位当たりの産出量は増えています。しかし、その進歩はあまりにも遅く、国際貿易に含まれる排出量も考慮すると、環境生産性の進歩はもっと緩やかになります。
OECDの新報告書、『環境成長指標2017年版(Green Growth Indicators 2017)』は、様々な指標を用いて、土地利用からCO2生産性、イノベーションまであらゆる分野を対象とし、1990年から2015年までの経済成長と環境圧力のバランスについて、世界46カ国のランク付けをしています。それによると、2000年以来グリーン成長において最も大きな進歩を遂げているのは、デンマーク、エストニア、英国、イタリア、スロバキアです。
本報告書によると、グリーン成長の全ての側面において良い実績を上げている国はなく、調査対象となったほとんどの国が経済成長を化石燃料の利用と汚染物質排出から完全には切り離せていません。天然資源基盤の保護、生態系への圧力と水質浄化や気候正常化といった天然環境サービスへの圧力の緩和にとって、現在の進展は不十分です。
サイモン・アプトンOECD環境局長は、次のように述べています。「グリーン成長の兆しは見えているものの、ほとんどの国が1つか2つの側面だけは進歩していても、他の部分でもほぼ全く進展が見られない状態である。天然資源を守り、我々の集団的な環境フットプリントを減らし、成長と環境圧力とのつながりを断ち切ろうとするならば、全体的に取り組みを強化する必要がある。」
本報告書によると、1990年代以降、OECDとG20全加盟国が全体的な環境調整済み生産性-汚染などの圧力と天然資源の利用を計上した経済生産性を測る方法-を高めています。
OECD加盟35カ国の半数が成長から炭素排出を「デカップリング(切り離し)」しているため、炭素生産性(CO2排出量一単位当たりのGDP)は改善しており、炭素排出量が経済成長と並行して増加することはなくなりました。炭素生産性が最も高いのはスイスとスウェーデンですが、スロバキア、ラトビア、ポーランドではGDPが増えるに従ってCO2排出量は減少しています。
貿易フローを折り込みCO2排出量を最終需要の観点から考慮すると、違う見方ができます。ほとんどのOECD諸国はCO2排出の純輸入国で、したがって海外での財またはサービスの生産段階で排出されたCO2を含めると、排出をGDPから切り離している国はわずか12カ国ということになります。
GDP1,000ドルを生み出すために、OECD諸国は平均で約420キロの非エネルギー材料と111キロのエネルギー材料を消費し、約260キロのCO2を排出しています。
その他の主な結論は、以下の通りです。
- 調査対象46カ国中、エネルギー構成における再生可能エネルギーの割合が最も高いのは、アイスランド、コスタリカ、スウェーデンである。BRIICS諸国の再生可能エネルギーの平均割合は14.8%で、OECD諸国の9.6%よりは高い。しかし、BRIICS諸国では1990年以来その割合が下がっているのに対し、OECD諸国では上がっている(41ページ参照)。
- 中国と米国は非エネルギー原材料の最大の生産国で、インドとブラジル(主にバイオマス)、南アフリカとカナダ(主に金属)がそれに続く。世界的に見ると、原料抽出は1980年と比べると200%以上増加しているが、これは非金属鉱物の発掘が急増したことによるところが大きい。原料生産性が最も高いのは、オランダ、英国、日本である(45ページ参照)。
- 都市部は急速に拡大しており、既にかなり都市化されたいくつかの国々においても、またOECD諸国でも、家屋密集地域はその人口よりも急速に拡大している。1990年と比べると、建物が建っている土地は30%増えている。世界全体で見ると、英国の領土と同じくらいの領域が建物に覆われたことになる。建物が建つということは、農地と生物多様性が失われるということで、水循環に悪影響を及ぼす(64-67ページ参照)。
- 大気汚染は相変わらず危険な水準にある。微粒子物質に関するWHO大気質ガイドラインを満たしている国は、OECD諸国でも3カ国中1カ国未満で、汚染レベルが非常に高くなおかつ上昇しているのは中国とインドである(87ページ参照)。
- 2000年代初頭にイノベーションと環境技術が急速に進んだことで、生産性が伸びたが、2011年以降、発明活動は環境関連の全ての主要技術分野で鈍化している。環境技術の約90%はOECD諸国の発明だが、中国とインドの寄与度が急速に高まっている(102-105ページ参照)。
- 環境関連税を導入する国が増えているが、それが租税収入に占める割合は1995年以降減少している。環境税によって増えた歳入は、OECD地域全体の歳入の5.2%で、労働税からの収入より遙かに少ない(125、129ページ参照)。
本報告書は、以下のサイトからダウンロードできます。
www.oecd.org/environment/green-growth-indicators-2017-9789264268586-en.htm
OECDのグリーン成長に関する活動は、以下のサイトをご覧下さい。
www.oecd.org/greengrowth/
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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