OECD-大阪、2019年6月30日
今週末に大阪で開催されたG20サミットで、G20諸国首脳は幅広い政策的優先事項について合意しました。それらについて、OECD及びその他の国際機関による分析と支援が重要な役割を果たしています。
特に貿易と気候変動について緊張が高まっていますが、首脳は多くの幅広い分野の主要問題について、解決に向けて前進することで合意しました。そうした問題の中には、社会全体が経済のデジタル転換に適応できるようにすること、女性の権限強化、不平等への取り組み、高齢化社会の問題への対処、良質なインフラの促進、環境悪化への取り組み、国際課税制度の強化などが含まれています。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、G20首脳に対してデジタル経済についてスピーチを行い、デジタル革命が我々の社会に多大な影響を与えており、共通政策が必要であることを訴えました。
グリア事務総長は、G20人工知能(AI)原則の承認を歓迎しました。この原則は、OECDが主導した協議に主に基づきつつ、独自に起草されました。グリアOECD事務総長は次のように述べています。「我々が望むAIは、人間中心に考え、倫理的、民主的価値を尊重し、透明性があり安全で、説明責任を果たせるものだということを確認した。」
さらに、グリア事務総長は、AIその他、あらゆるデータ集約的テクノロジーは、説明責任、包摂性、信頼性という問題を提起しており、このAI原則が安倍晋三首相が提唱する信頼性のある自由なデータ流通についてのイニシアチブを補完するものであるとも述べました。
首脳宣言では、G20諸国首脳は経済のデジタル化によって生じる租税問題への取り組みにおいて近年の進捗状況を高く評価し、2020年までに合意に基づく解決に至るよう一層取り組むと述べました。「G20/OECD税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施の重要性を再確認しています。
G20首脳は、男女平等と女性の権限強化(エンパワーメント)は、持続可能で包摂的な経済成長を達成する上で不可欠です。サミットで発表されたOECDと国際労働機関(ILO)の共著(URL)によると、2020年までに男女の有給就労率の差を25%引き下げるというG20の目標については、進捗が見られました。
しかし、ガブリエラ・ラモスOECD首席補佐官兼G20シェルパがサミットのイベントで述べたように、あらゆる国々で十分な進展があったわけではありません。男女賃金格差は、依然としてG20諸国平均で17%あり、女性が無給労働、パートタイム労働を不当に分担しています。
ラモス補佐官は、日本はアルゼンチン、ブラジル、韓国とともに、男女の労働参加率を最も大幅に引き下げることに成功したと述べています。
「女性の権限強化をあらゆる場面で進めることは、取り組みを強化し、文化を変えるということだ。我々は、差別的なルールと教育やメディアにおける固定概念を撤廃しなければならない。」
気候変動については、米国は、温室効果ガス排出量を制限するというパリ協定からの脱退の決定を翻しませんでしたが、他の19カ国首脳は、その義務遂行の公約を再確認しました。
OECDのクリーンなエネルギーへの転換促進に関する報告書は、G20首脳の気候変動に関する議論に有益な情報を提供しました。
その他、日本が議長国を務めたG20大阪サミットにOECDが他の国際機関と協力して寄与した項目には、グローバルな経済的リスクと経常収支不均衡、資本フローと金融イノベーションの管理、国連持続可能な開発目標への進捗状況の分析、移民と強制移住の動向の把握などがあります。
G20大阪サミットへのOECDの貢献については、下記のサイトをご覧下さい。http://www.oecd.org/g20/summits/osaka/publicationsanddocuments/
G20に関するOECDの活動についてその他の情報は、下記のウェブサイトをご覧下さい。
www.oecd.org/g20 ;
OECD Media Office (tel +33 1 4524 9700).
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