OECD-パリ、2019年9月19日
OECDの最新エコノミックアウトルック中間報告(Interim Economic Outlook)によると、世界経済は成長が鈍り景気を押し下げるリスクが依然として高まっているため、脆弱かつ不確実さが増しています。
経済見通しは、先進国でも新興諸国でも悪化しており、世界の経済成長は政府の確たる政策対応がなければ、低成長が続く可能性があります。
貿易摩擦の激化により景況感と投資がますます損なわれ、政策の不確かさが加わって金融市場のリスクをさらに高め、世界的にすでに弱い成長見通しを悪化させています。OECDの予測では、世界経済の成長率は2019年は2.9%、2020年は3%と、金融危機以降の年間成長率としては最も低く、景気が下降するリスクが依然として高いとされています。
本アウトルックでは全てのG20諸国を対象としていますが、ほぼ全ての国々、特に今年の国際貿易と投資の減少の影響を最も大きく受けている国々について、2019年5月のエコノミックアウトルックの予測を下方修正しています。
本中間報告書では、貿易摩擦を世界経済全体の景況感、成長、雇用創出を損なう主要因と見なし、貿易制限と政策の不確定さが継続すると更なる悪影響があると強調しています。今のところ、消費者の需要が堅調でサービス部門のアウトプットを支えていますが、製造部門が依然として弱いことと貿易摩擦が続いていることで、雇用の伸びが弱まり、家計の所得と支出が減少する可能性があります。
英国のEU離脱のタイミングと条件については、特に合意なき離脱が実現すると英国は2020年に不景気に陥り、欧州を分断する可能性があるため、引き続き先行きが不透明です。その他のリスクには、中国経済の全体的な鈍化、成長の鈍化や多額の負債、信用度の悪化などの摩擦から来る金融市場の深刻な脆弱性などがありますが、それも将来の成長に重くのしかかっています。
ローレンス・ボーンOECDチーフエコノミストは、次のように述べています。「世界経済は深刻な逆風に晒されており、成長の鈍化が定着しつつあることは懸念すべきである。貿易摩擦が続くことでもたらされる不確定さが長期間続いており、それが世界全体で経済活動を削減させ、将来にわたって経済を脅かしている。各国政府は現在の低金利を生かしてインフラ投資を再生させ、将来の経済発展を促進する必要がある。」
本アウトルックは、先進諸国の中央銀行に対して引き続き金融緩和策を求めていますが、より強い財政、構造政策の支援があれば、金融政策の有効性は多くの先進諸国で一層高まると強調しています。財政政策は、非常に低い長期金利を好機と捉え幅広い公共投資に生かして短期的需要と将来の繁栄を支援することで、経済を支える上でより大きな役割を果たすべきです。貿易と国際投資に対する制限が厳しくなることで生じるマイナスの供給ショックの影響を相殺し、中期的な生活水準の向上と機会の拡充のために、どの国でも構造改革の意欲を高めることが求められています。
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詳細は下記のサイトをご覧ください。
www.oecd.org/economy/economicoutlook.htm.
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