OECD-パリ、2020年2月13日
新経済分析(New economic analysis)によると、経済のデジタル化によって生じる租税問題に対してOECDが交渉中の解決策は、世界中の国々の税収に大きなプラスの影響を与えると考えられます。
本日発表されるこの分析では、交渉中の2本の柱からなる解決策の総合的な効果は年間で世界全体の法人税収入の4%増、または1000億米ドルに上ると推定しています。この税収増は、法人税収の比率において高所得国でも中、低所得国でも大きな違いはありません。
この分析は、「BEPS包摂的枠組みに関する声明(Statement by the OECD/G20 Inclusive Framework on BEPS)」によって国際社会が、経済のデジタル化によって生じる租税問題について合意に基づく長期的な解決策を見出す取り組みを行い2020年末までに合意できるよう交渉を続けることを確約してから、わずか数週間後に発表されました。
BEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework on BEPS)には、137の国と地域が参加し国際課税ルールに関して対等な立場で多国間交渉を行っています。1月29~30日に開催された会合で、これらの国・地域はデジタル化の課税問題に対処するために2つの柱を掲げて交渉を行うことを決定しました。
参加諸国・地域は、納税場所についての新たなルール(「関連性(nexus)」ルール)と、利益のどの部分に課税されるべきか(「利益配分(profit allocation)ルール」)について、第1の柱の「統一アプローチ」に基づいて交渉を継続することで合意しました。その目的は、実際に所在していない地域で継続的かつ大規模な事業を行っている多国籍企業にその地域で課税できるようにすることです。また、参加諸国・地域は残された税源浸食と利益移転(BEPS)問題に対処し、国際的な企業に最低限の税を納めさせることを目的とした第2の柱についての議論を継続することにも合意しました。
この第1の柱と第2の柱の経済分析と影響評価は、包摂的枠組みの参加諸国がOECDで行われている交渉の一環として合意する税制改革の設計とパラメータについての主な決定に情報提供するために行われています。この分析には、包摂的枠組みの全参加国を含む200以上の国々と27,000社を超える多国籍企業グループから得られたデータが収録されています。第一次分析の仮定は説明的で、包摂的枠組みが取る決定を予想することはできません。
この分析によると、第1の柱の改革-一部の課税権を実質的な所在に関わりなく市場がある国にに再配分する-はほとんどの国々に少ないものの税収増をもたらすと見られています。第1の柱の下では、投資ハブが税収の一部を失うため、低・中所得国が先進諸国より相対的に多くの税収を得ることができるとみられています。再配分される利益の半分以上は、トップ100社の多国籍企業グループから得られるものです。
この分析によると、第2の柱は相当な額の追加税収をもたらすことができます。この改革により各国間の税率の差が低減されることで、多国籍企業による利益移転が大幅に減少すると期待されています。このことは、利益移転の悪影響を先進国より大きく被っている開発途上国にとって重要です。
投資コストへの直接的な影響は、この改革の対象が利益率が非常に高く実効税率が低い企業であるため、ほとんどの国で小さいと予測されています。また、この改革により法人税が投資地域決定に及ぼす影響も低減するでしょう。さらに、合意に基づく解決に達することができないと一方的な措置が取られるようになり、不安定さが高まることになります。
経済分析と影響評価の最新の更新について、詳しくは下記のウェブサイトをご覧下さい。 http://www.oecd.org/tax/beps/webcast-economic-analysis-impact-assessment-february-2020.htm.
分析についてのWebcastは、下記のサイトでご覧になれます。 https://oecdtv.webtv-solution.com/6231/or/webcast_economic_analysis_and_impact_assessment.html.
OECDのデジタル経済における課税の研究は、国際課税制度の安定性を確保し確実性を高め、既存のルールとの重複を抑え、二重課税のリスクに対処するための幅広い取り組みの一環として行われています。
現在進行中の作業は、2月22~23日にサウジアラビアのリヤドで開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議で公表されるOECD事務総長の新報告書に収録されます。
OECD/G20 BEPSプロジェクトの詳細は、下記のウェブサイトをご覧下さい。www.oecd.org/tax/beps/
ジャーナリストの方々は、下記まで直接お問い合わせください。
Pascal Saint-Amans, Director of the OECD Centre for Tax Policy and Administration (+33 1 45 24 91 08)
Lawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 4524 7970).
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