OECD - ソウル、2017年3月16日
韓国は環境サービスの利用性を向上させており、気候変動緩和技術において、世界のリーダーになりました。しかし、OECDの調査によると、同国では過去10年の経済拡大の取り組みによってエネルギーの利用量、資源消費量、温室効果ガス排出量が増え、大気汚染が悪化しており、今後はそれを抑えるためのグリーン成長改革を加速させる必要があります。
OECDの「対韓国環境実績審査報告書(Environmental Performance Review of Korea )」は、韓国は自国のエネルギー政策、気候政策を見直し、それらが同国の気候に関する国際公約に沿っているかを確認するとともに、大規模な炭素回収貯留技術の開発への取り組みを強化して、今後数年以内に稼働を開始する新たな石炭火力発電所からの排出量を埋め合わせるよう提言しています。
エネルギー構成において化石燃料が主流であるため、韓国の温室効果ガス排出量は、2000年から2013年の間に39%増加しており、この期間の排出量の伸び率において、OECD諸国中第2位となっています。現在韓国は、排出量においてもOECD地域中第5位(2000年は第9位)で、この傾向が続くと、2030年には温室効果ガス排出量は1990年の水準の3倍になると見られています。
サイモン・アプトンOECD環境局長は、ソウルで行われた発表会見で次のように述べています。「韓国は世界でも最も意欲的なグリーン成長政策を設定している。今後はその気候目標に向けてそのビジョンを実行に移す必要がある。
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先進技術を持つ国として、韓国は低炭素経済への移行から利益を上げられるはずだ。しかしそれは、クリーン技術イノベーションに見返りを与え、汚染物質を排出するものを罰する低炭素改革を実現しなければ実現できない。」
韓国は重工業が産業の主流であるため資源集約的な経済ですが、材料消費が経済成長と切り離されたおかげで、材料生産性(歩留まり)が改善してきました。2016年に資源循環に関する法律を制定し、韓国はリサイクルと再利用を促進し原料とエネルギー供給の安定に寄与する「循環経済(“circular economy”)」を目指して動き始めました。
現在のエネルギー計画は石油から天然ガスに移行しつつありますが、韓国のエネルギー構成において石炭の占める割合に大きな変化が起きる見通しはなく、再生可能エネルギーの割合はOECD加盟35か国中最低です。2015年の韓国の総一次エネルギー供給量(TPE)の82%は化石燃料で、OECD平均を若干上回っています。
韓国は、2015年初頭にその気候政策の中核として、世界第2位の規模の排出権取引制度を開始しました。しかし、現在までのところ、この制度は温室効果ガス排出量削減にとって、環境的にも経済的にもあまり有効な手段ではありません。長期的なシグナルを発するためには、排出権取引制度により厳格な排出上限を導入し排出権をもっと精力的に利用する必要があります。
韓国はOECD諸国中で最も人口密度が高く、1立方キロメートルあたり505人で、都市部に人口の約70%が居住しており、大気汚染の影響を最も受けやすい国でもあります。これは特に、人口の半数近くが暮らすソウル周辺で深刻です。中国から飛来する微粒子が、中国の粒子状物質(PM2.5)の濃度を悪化させています。
主な提言は以下の通りです。
- グリーン成長への政策関与を強化する。
- エネルギー計画を気候変動公約に沿うよう見直す。
- 電力料金を、サービス提供のコストを反映させるため徐々に引き上げ、環境コストと健康コストを反映させるためにエネルギー製品について増税する。化石燃料助成を段階的に廃止する。
- 再生可能エネルギーを支援し、エネルギー需要管理を改善する取り組みを行う。
- 大気汚染対策を強化する。大気汚染源とその健康被害についての知識を高める。
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OECDの環境実績審査報告書について、詳しくは以下のサイトをご覧下さい。
www.oecd.org/environment/country-reviews/about.htm.
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Catherine Bremer in the OECD Media Office (+33 1 45 24 97 00).
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