OECD ー 2017年5月30日
グローバル化は、貿易、投資、企業行動において平等な競争条件を作り出すことに失敗し、多くの国で開放性に対する反発の要因の1つとなり、政府制度への信頼を失墜させています。国際協力を強化し、世界市場と企業、制度に同じルールに従って行動させることのみが、生産性の伸びを維持し、過剰生産を避け、人々の信頼を改善することを可能にします。
OECDの新報告書、『OECD企業・金融業アウトルック 2017年版 (OECD Business and Finance Outlook 2017)』によると、企業、金融問題のガバナンスと協力関係を世界全体で強化することには、公平であるだけでなく、あらゆる人が公平だと認知できる「ゲームのルール」を確立することが含まれます。
本書は、グローバル市場に参加している国々が、互恵的な競争、貿易、国際投資と整合する一連の共通の透明な諸原則に従うことを確約する必要があると述べています。このことが国内政策によって扱うべき問題をも減らすことになります。また、生産性の伸びを促進し、消費者にとって有害な超過利潤(レント)を削減することで、資源配分を改善することもできます。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べています。「グローバル化に対する逆風が多くの国々で吹き荒れているが、貿易や海外直接投資、技術的変化などによる相互に関連した影響により多くの人々が対処できるようにする取り組みは、ほとんど行われていない。国内政策をより有効にすることに加えて、あらゆる国々が協力して貿易、投資、企業行動の平等な条件を確立し、グローバル化の悪影響にうまく対処しつつ経済開放の恩恵を維持できるようにすることが、あらゆる国々にとって必須である。それによって、経済開放がもたらす成長が社会に行き渡り持続可能になり、グローバル化はあらゆる人々に有益なものになる。」
国際的な取引の公平性が高まれば、グローバル化と技術的変化の影響を受ける労働者を救済する政策が強化されます。その中には、インフラ投資の増加、構造改革、セーフティーネット、労働者の再訓練・教育、貿易の影響に晒された労働者に対する調整支援の始動などがあります。
本書はまた、平等な競争条件を確立するために何らかの取り組みが必要なその他の分野も取り上げています。その中には、以下のものが含まれています。
- 国有企業の影響:国有企業はフォーチュン・グローバル500の9.8%をから、近年は23%に達するほど増えています。重要なことは、これらの企業には大規模金融業者が含まれており、彼らが他のほとんどの企業部門にわたって他の国有企業に有利な条件で資金提供をする上で、重要な役割を果たせるということです。グローバルな場面でその重要性が高まることを考慮すると、国有企業のガバナンスとオーナーシップが最良慣行を尊重し、競争を歪める政府支援または助成を防ぐものであることが重要です。
- 国際カルテルによる談合は、消費者物価を引き上げ、特に低所得世帯に悪影響を与える:1990年から2015年の間に240のカルテルが摘発され罰金を科され、7兆5000億米ドルの売上げに影響が及びました。各国は、不正入札に関わるルールを強化し、様々な国の当局間での情報収集と操作事例の共有の障害を取り除く必要があります。
- 贈賄・汚職防止法の失効を厳格化することが、世界経済におけるグローバル化のあり方を改善する上で必要です。レントシーキング行動は、世界全体のGDPの2%から3%、フランス経済の規模に等しいと推計されています。OECD贈賄防止条約に沿った汚職防止法を批准することで、批准国は腐敗した制度を持つ国に対する投資を減らし、健全な所有権と説明責任を持つ国への投資を増やすことができると、本書は述べています。
- 株式市場における競争を強化する必要があります。本アウトルックは、1億米ドル未満の株式新規公開の場合、平均的なコストは発行額の9~11%だと述べています。これは株式のコストを高め、長期の生産的投資に不利に働きます。
OECDのような国際機関は、こうしたルールの開発において、重要な役割を担っています。贈賄防止条約、G20/OECDコーポレートガバナンス原則、OECD多国籍企業ガイドラインといった標準の遵守を拡大する取り組みを広げる必要があります。各国政府はまたその実施と執行をグローバル化された平等条件のレベルにまで高める必要があります。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs